福島の出生率が東日本一に

先日、厚生労働省から2014年の人口動態統計が発表され、合計特殊出生率が1.43から1.42へと9年ぶりに低下したことが話題になった。このまま出生率が伸びずに、人口減少と少子高齢化の加速化に歯止めが利かないと、社会保障制度は破綻し、日本経済は衰退の一途を辿っていくことは明らかだ。


そんな暗いニュースのなか、明るいニュースもあった。福島県の出生率が2013年の1.53から0.05ポイント上昇し、2014年は1.58に大幅増加したのだ。昨年、「福島で出生率大幅増、最新の人口動態を分析する」の記事で書いたように、福島では震災と原発事故の不安からか、2012年は出生率が1.41と大幅低下したが、2013年には1.53に回復していた。2014年もこの傾向がさらに強められたということなる。福島で暮らす人々は、未だに収束しない原発事故処理と放射線の影響に不安を抱えているだろうが、そのなかでも未来に希望を託し、たくましく子どもを生み育てている人たちが多くいることは希望の光のように感じる。

福島県の出生率は全国でも9位、東日本(関西以北)では福井県の1.55をおさえて1位だ。福島県は、震災以降、子育てと出産支援に重点的に取り組んでおり、18歳以下を対象にした医療費無料化、子育てや出産に関する電話相談、各自治体ごとの出産祝い金などの取り組みが功を奏しているのかもしれない。

他の都道府県の出生率推移を見ると、2014年は各県とも軒並み低下している。東京が2013年の1.13から2014年は1.15と微増しているくらいだ。現在の少子化対策は待機児童解消ばかりが注目されているが、待機児童は重要事項であることは確かだが、大都市圏特有の問題だ。政策立案者とマスコミが東京に集中し過ぎているためか、東京中心の発想が否めない。

全国の地方でも子育てしやすい環境を整備し、日本全体の出生率を伸ばすには、若者の雇用と収入を安定化させ、早期の結婚を後押しするとともに、経済的理由で産みたくても産めない第三子以降に重点的な経済支援をすることだ。各地方自治体も福島に続き、子育て支援と少子化対策にほ本腰を入れられるよう、国と地方が一体となって推進するべきだ。

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学びのエバンジェリスト
本山勝寛
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「学びの革命」をテーマに著作多数。国内外で社会変革を手掛けるアジア最大級のNGO日本財団で国際協力に従事、世界中を駆け回っている。ハーバード大学院国際教育政策専攻修士過程修了、東京大学工学部システム創成学科卒。1男2女のイクメン父として、独自の子育て論も展開。アゴラ/BLOGOSブロガー(月間20万PV)。著書『16倍速勉強法』『16倍速仕事術』(光文社)、『16倍速英語勉強法』(朝日新聞出版)、『マンガ勉強法』(ソフトバンク)、『YouTube英語勉強法』(サンマーク出版)、『お金がなくても東大合格、英語がダメでもハーバード留学、僕の独学戦記』(ダイヤモンド社)など。