百田尚樹氏を追い込む集団『アリゾウ』とは!?

先日の記事でもお伝えしたように、大ベストセラー作家の百田尚樹さんが最近ヤバい事になっています。

おさらいすると、百田さんは去年の11月に出版した殉愛という、やしきたかじんさんの最後を描いたノンフィクション小説を出版しました。最初は巨大メディアも特集を組んで『泣ける!』と大変な評判となったのですが、この本に捏造疑惑が出始めます。それ以降、百田さんはテレビで見かける事がなくなっていき、先日、唯一存在感を示しているように見えたTwitterアカウントにも鍵をかけてしまいました。



やはり、本をガンガン売るためには、大手メディアへの大胆な露出があってこそだと思われます。なので、今の百田さんの置かれている状況は、全盛期に比べてかなり追い込まれていると言っていいでしょう。

(※Twitter @wr_ryota か、「マスコミ」もう一つの読み方 | Facebookに書き込みを下されば確実に返信いたします。)

さて、私は、この百田さんが追い込まれている現象を見て、非常に新しい動きが世の中に起きていると注目しています。それは、百田氏の殉愛の捏造疑惑を主に追求しているのが、メディアなどの組織ではなく、この問題に感心のあるバラバラの個人が緩く協力しあった集団であるという点です。

百田さんを追い込んでいる個人の多くは、自らをアリゾウと名乗りTwitterでハッシュタグという呟きがまとまって読める機能を使って活動しています。そして、アリゾウとは、小さなアリも集まれば巨大なゾウをも倒すという意味です。その名の通り、ネット上で個人が殉愛のノンフィクション捏造問題に切り込んでいけば、大ベストセラー作家でも倒せるという事で活動しているようです。そのため、アリゾウの方々は、ネット上で毎日百田さんを監視しつづけて、何か倒せる糸口はないかと探り続けているのです。

では、我々メディア側から見ると、アリゾウ活動はどうみえるのでしょうか。そもそも、メディアというのは集団からの講義活動に対して、非常にモロいという性質を持っています。例えば、放送禁止用語と言われる言葉の使用を避けているのも、圧力団体などの抗議をさけるためです。なので、百田さんを自社メディアで扱うとアリゾウの方々からの抗議が殺到すると言うのであれば、メディアにとっては『百田尚樹』という言葉自体がある種の放送禁止用語になってしまった様な感覚になってしまいます。

また、メディアはアリゾウに対して通常の圧力団体よりも、もっと得体の知れない恐ろしさを感じると思います。それは、アリゾウの方々の情報の拡散力とリサーチ力です。従来の圧力団体は、放送局や駅前で抗議活動のデモなどを行っています。ですが、その抗議の演説で主張される事は一部の特別な事に興味のある圧力団体構成員には興味がある事でも、一般の人には興味の惹かれる内容ではない事が多いはずです。なので、そういう講義の演説にに耳をじっくりと傾けて聞いている人というのも、それほど多くはないでしょう。

一方、アリゾウがどうかというと、真逆と言っていいかもしれません。一般人であるアリゾウの方々が興味を持つ情報というのは、一般の人にとって分かりやすく興味が惹かれる情報です。そういった情報を、Twitterなどを使って自分に近い人へ口コミで伝えていくわけです。

例えば、百田さんのケースで言えば、ジャーナリズムやマスコミ論などをアリゾウの方々が話し合うわけではありません。もっとシンプルに、百田尚樹『殉愛』の真実という殉愛の検証本が盛んに色々な人に読むようにと口コミで勧めています。これは有名人の死の真相を徹底的に追及した本なので、一般の人が興味を持てない理由は全く無くコンスタントに広がっているようです。

また、同時に意識しなければならないのは、この口コミの力というのが、拡散力だけではないという点です。口コミというのは非常に強いリサーチ力をも備えています。実際、未成年が犯罪を犯した場合、メディアが顔や名前を隠しても、ネットでは個人情報が直接関わりがある人などの口コミによって全てが暴かれてしまっています。百田さんのケースはというと、百田尚樹『殉愛』の真実と本家の殉愛のアマゾンのレビューの欄を見比べてみてください。こういった所でもアリゾウの方々は大活躍されています。こんな事は、従来の圧力団体にはできない事です。なので、メディアもアリゾウを本格的に敵に回し、自社のあら探しなどが徹底的に行われる事などを考えると悪夢としか言いようがないと思います。

さて、アリゾウというのは、今まで全く無かった概念なのでしょうか。私はそうは思いません。これまではアリゾウという言葉は無かったものの、メディアが北朝鮮の負の面を扱わなかった問題や朝日新聞の誤報問題などは、アリゾウ的な個人集団に倒されてきたのだと思います。特に、朝日新聞と百田さんが行っているアリゾウとの接し方というのは、非常に共通点が多いと思っています。その辺に興味が湧いた人は、手前味噌で申し訳ないですが、ぜひ「朝日新聞」もう一つの読み方という私の最新刊も読んでみてください。笑っちゃうほど、朝日と百田さんの読者の煽り方や、アリゾウとの戦い方が似ていて読んでいて楽しくなると自信を持ってオススメします。

しかし、アリゾウの方々と朝日新聞を倒した方々には決定的な違いがあります。アリゾウの方々は今までの個人集団とは違って、自らを『アリゾウ』だと意識しています。なので、結束力が従来よりも若干強まっている集団だといえるでしょう。というわけで、これからの時代のメディアは、従来の圧力団体に加え、アリゾウ的な集団にも非常に気を使うことを意識する必要性にかられる事になるでしょう。