女子ワールドカップで残念ながらなでしこジャパンは負けてしまったが、試合中や終了後の女子選手の態度は立派だった。中でも、感心したのはキャプテンを努めた宮間あや選手だった。
テレビで見ていて以前から見事な選手だと思っていたが、今回決勝戦でアメリカに5対2の大差で負けたのに悪びれることなく、「良い仲間と一緒に戦えて幸せです」とさわやかに語っていた。選手としての技量やセンスも抜群だった。
宮間選手のWikipediaを覗いてみると、ロンドン五輪の予選で対戦したオーストラリアのトム・サンマーニ監督の言葉が彼女のプレーの素晴らしさを適切に評していると思う。
(彼女は)とてもクレバーで、ゲームのセンスがある。誰よりも試合を先に読んでいる。いつもスペースを見つけ出すし、ボールを見逃さない。ピッチ上で誰よりも一歩先を読んでいる選手
英国代表ケリー・スミス選手もいい点を突いている。
卓越した試合運びで良いパスを通し、身のこなしが素早い。足を止めた時がとりわけ脅威で、彼女がつぎにどう動くかわからない。彼女は自分の思うところに自在にボールを打つことができます。彼女がプレーしているのを見るのは楽しみです。 対戦相手の時でなければの話ですが!
選手、人間としての宮間評にも頷けるものが多い。
私は同点でいい、と思っていた。あの一言で、最後まで諦めない気持ちになれた( 2011年W杯で同点打を決めた後、宮間に「澤さん、あと1点で勝てるよ」と声を掛けられた澤穂希の言葉)
試合後、彼女が歩み寄ってきた時、彼女は喜びをあらわにしていなかった。彼女はアメリカに敬意を表したかったのでしょう。なぜなら、私たちが負けてどれほど傷ついたか分かっていたから( 2011年のW杯で米国が日本に敗れた際のアメリカのGKホープ・ソロの言葉)
卓越した技術、なでしこサッカー主将としての理論的および精神的支柱ばかりでなく、日本の良き文化の伝道者でもある( 数学者でエッセイストの藤原正彦の言葉)
宮間あや選手自身の言葉にも、スポーツを通じて紡ぎだした含蓄ある人生哲学があって、若いのに立派だなと感じさせられた。
朝、目が覚めた時、もしその日一番やりたいことがサッカーじゃなかったら、私はその日に引退する
下手な選手がいるなら、巧くなれるように助けてあげればいい。私は、試合には勝ちたいけれど、ただ強いだけのチームに入ってチャンピオンになりたいとは思わない。『一緒に戦いたい』と思える仲間がいるチームで、日本一を目指したい
私は、『辛かった』と、ひとことも言ったことはないんです。だって、サッカーは仕事なんですよ。『仕事が辛い』って言っているのは、ダサいじゃないですか?
私には私の夢があるように、夢や目標は一人ひとり違うもの。ですから、いまやりたいことが見つからなくても焦らなくていいんじゃないかな。深く考え込まず に、まずは自分が笑顔で過ごすにはどうすればいいのか、何をしていると笑顔になれるかを考えてみて欲しい。その中からふと答えが見つかるかもしれません
やっぱり相手がいないと試合できないですから。試合中は敵ですけど、試合が終わればひとりのサッカー仲間ですし。そういう風に相手にも思ってもらえるような、自分たちもそういうチームでありたいと思いますし、また自分たちも相手にそういう敬意を持って戦わなきゃいけないと思っています(2011年W杯優勝後米国チームの健闘を称えたことに関して)
失礼ながら、どこにでもいる庶民の顔立ち。地味で飾らない姿は商店街のカレー店の店員や保育園の保母さんなどとして良く見られる。周囲を明るく元気にしてくれること請け合いの活力を秘めて。
彼女は今、30歳。結婚しているのかどうか知らないが、独身ならこんな女性を嫁にできる男性は幸せだ。生まれた子供にとっても良いお母さんになるのじゃないだろうか。