森喜朗さんの夢が国民を奈落に連れていく?

日本を神の国だと錯覚されるのは自由ですが 、いくら人生をかけた夢だとしても、貧乏なくせにフェラーリを買うようなみっともない真似だと一地方の市長から揶揄される新国立競技場建設に国民を巻き込むのだけはやめてほしいものです。それが日本のためにもなると本気で信じきっておられるのかもしれません。日本の恥だと右翼の方々は騒がないのでしょうか。
橋下市長、国立競技場「大反対」「金がない家がフェラーリ買ったらアホと言われるのと同じ」 – 産経WEST


森喜朗さんが、建築家の安藤さんまで使い、強引にザハ案を進めてきたということでしょうが、誰か歯止めをかける人はいなかったのでしょうか。安藤さんが最終の委員会を欠席したことは、本来は、自らの意志ではなかったことの主張だったのかもしれません。まずはザハ案ありきで、コンペも八百長の出来レースだったという記事まででてきています。
新国立競技場デザインコンペは八百長出来レースだった/証拠写真集
総工費2520億円、新国立競技場の恐ろしい実態! 実は森喜朗がデザインを決定していた?|LITERA/リテラ 

建築費がどこまで嵩むかもいまだに不明なうえに、間に合うかどうかもわからず、しかもコンサート収入などを加味しても赤字が続き、高い維持費のツケが将来にわたって回ってきます。
若者にツケ回すカネ食い虫新国立競技場 建設費3000億円に維持費も50年で1000億円! : J-CASTニュース

裏でどんな交渉があったのか、ついにあれだけ資金を出さないと突っぱねていた都知事も森喜朗さんの説得に陥落し、都民を裏切ってザハ案で逝ってしまうことを賛成されました。 国立競技場の近くのどこかにアパグループのホテルとかマンションの一棟や二棟が建てばさらに面白いドラマとなってきそうです。

公共事業が日本を救うと主張されている経済ナショナリストの皆様には両手をあげてバンザイを叫びたくなる快挙かもしれませんが、人出不足で倒産する会社もあるなかで、これだけの規模の公共事業が行われるとその影響も心配されます。さらに終わった後の反動も大きくなります。オリンピック後の首都圏経済が不安な感じになってきました。

日本財政 転換の指針 (岩波新書)
井手 英策
岩波書店
2013-01-23


国会も自民党もチェック機能が働きません。ほんとうに誰か止める人はいないのでしょうか。井手栄策慶応大学経済学部教授の『日本の財政 転換の指針』によると、日本は先進国のなかでは、実際には税率はそう高くないにもかかわらず、高い税をとられているという痛税感が非常に高いのですが、原因は、国民が政府とか政治、また行政をまったく信頼していない、いやむしろ不信感を持っているからだそうです。
新国立競技場建設は、ますます国民の政治、税の使い道への不信感を高めます。おそらく実際に使われる金額以上に、そちらのダメージのほうが深刻ではないでしょうか。
■先進国における政府への信頼度の比較(『日本の財政 転換の指針』より)
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税制問題が検討されるたびに、新国立競技場が負の遺産として喉元に刺さった骨のように足を引っ張りそうです。このところ、支持率が落ち、不支持率が上回ってきた安倍内閣ですが、たとえ越権行為だとしても、この新国立競技場ザハ案見直しが必要だというメッセージをだせば、支持率も回復するのではないでしょうか。