「Apple Watch」はもう終わりなのか?

Apple Watchの売れ行きが落ちているらしい。腕時計型のウェアラブル端末は過去にもいろいろあったが、満を持して登場したApple Watchは今年4月の発売後、大ヒット商品としてあちこちのメディアで紹介された。誰の目にも、これは成功したデバイスになる、と映ったことだろう。

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Apple WatchのHPより。

一方、発売直後には毀誉褒貶相半ばする評価が、これまたアチコチのメディアに出てきたのも記憶に新しい。あれから2カ月ほどたって、ユーザーと未ユーザーのこのデバイスに対する見解は、一定の落ち着きを見せている。いわく、使う人には便利だが必要な人には無用の長物、という、これまで出現したありとあらゆるデバイスについて言い尽くされた当たり前の論評だ。

肝心の売れ行きのほうはと言えば、6月に入っても1日に2万台ほどは売れているから、ほかの腕時計型デバイスに比べればダントツの成績であることも確かだ。しかし、市場に行き渡ったのか、出荷台数を表すグラフがあたかも急落したように見える。好事魔多し。この落ち込みぶりを取り上げて、Apple Watchを腐す記事がここのところ増えてきている。

Appleはこれについて無反応を貫いているが、想定内の結果でもあり反応でもある、ということなのだろう。だが、油断大敵で、Apple Watchのライバルと目されるfitbitが売れているらしい。歩数や移動距離、消費カロリーなどフィットネス系のデータ取得に特化した「デジタル歩数計」だ。

価格的にApple Watchより手頃で目的を絞ったこともfitbitが広く受け入れられている理由だろう。こちらのほうは、必要ないときは腕から外しておけばいい。四六時中ずっと身につけていなければ意味のないApple Watchのようなデバイスに対する抵抗感は、実は意外に強いのかもしれない。

Agile Cat ─ in the cloud
Apple Watch の 大失敗を示すチャート: あなたは、どう読む?


Funeral Directors May Be at Increased Risk for ALS
livescience
遺伝要因以外に誰でも発症するリスクのあるALS(筋萎縮性側索硬化症)だが、遺伝子が複製されたりする際に出るゴミが神経回路に溜まったりして起きることが一つの原因という説もある。本来、生体はこうしたタンパク質のゴミを食べて処理する機能を持っているが、それが機能不全に陥るらしい。まだ治療法が確立されていない病気の一つだが、誰もが明日、突然ALSを発症するかもしれない。年齢や性別は関係ないようだが、発症すれば遅くとも数年以内に死亡する。この記事では、葬儀関係者にALSの発症率が高い、という米国の疫学研究を報告している。遺体の腐敗を防ぐために使われるホルムアルデヒドに日常的に曝露され続けるから、ということのようだ。ホルムアルデヒドは、発がん物質としても知られ、日本でも労働安全衛生法で規制されている。米国におけるALS発症率は年に2人/10万人だが、葬儀を取り仕切る仕事をしている男性では2人/493人だったらしい。ホルムアルデヒドは葬儀関係以外でも医療や製薬、建築などの分野で使用されている。ALS発症の職病的な可能性が示唆された、ということでさらなる追跡研究が待たれる。

Spectacular Moroccan fossils redefine evolutionary timelines
ScienceDaily
地球上の生命は、カンブリア紀で「大爆発」的に適応進化し、その多様性を獲得した。さらにその後のオルドビス紀には、オウムガイや三葉虫、魚類の祖先など、進化の速度を上げる。オルドビス紀は、約4億8830万年前から4億4370万年前までの約4500万年ほどの期間だ。この記事では、米国イェール大学の研究者が、アフリカのモロッコでオルドビス紀の生物化石を調べたところ、その前のカンブリア紀から継続進化した種をたくさん発見した、と書いている。もしかすると地層年代的に両者は連続しているのかもしれない。そんなオルドビス紀は、生物の半分近くが絶滅する大量絶滅で終わった。
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オルドビス紀の地層から発掘された節足動物の祖先。Credit: Peter Van Roy

食事前の飲酒で食欲が増す「アペリティフ効果」を神経科学で解明 / アルコール摂取後は食べ物のにおいに対する脳の反応が活発化
ワイリー・サイエンスカフェ
消化器官が働くためには、主に三段階が知られている。まず「脳相」という検知機能が働き、唾液を分泌させたり胃液分泌の準備をする。次に「胃相」で食べたものを分子分解し、吸収しやすくする。最後は「腸相」で低分子になった栄養分や水分を吸収する。この最初の「脳相」には視覚や嗅覚、味覚などのセンサーが関与するが、この記事では食前酒の効果を調べた研究を紹介している。食前酒のアルコールが脳を働かせ、食欲を増進させることがわかったらしい。ちなみに当方が飲む食前酒の定番は、コアントローかグランマニエのソーダ割りだ。

Rich countries accused of foiling effort to give poorer nations a voice on tax
the guardian
世界的に自助努力と自己責任が求められる時代になってしまったため、個人はおろか国家も自分の始末は自分でしなければならない。これは当然と言えば当然の話だが、持つ者と持たざる者の格差はあらゆる場所で広がりつつある。この記事では、国連が豊かな国に対して貧しい国への援助をするように働きかけた、と書いている。個人の豊かさと違い、今の世界に豊かな国があるかどうか疑問だが、金融危機の連鎖反応を食い止めるためには蟻の一穴を防がなければならない、というわけだ。


アゴラ編集部:石田 雅彦