デルタ航空のねらいはなにか

昨日、時事通信より「米航空大手デルタ航空が民事再生手続き中のスカイマークの支援を検討している」とのニュースが流れました。YAHOOでもトピックス扱いだったので目にした方も多いと思います。「米デルタ、スカイマーク支援検討=米リース側再生案に参加

昨年の8月22日に「スカイマーク、700億円の違約金は!デルタ航空と提携が濃厚か?」をアゴラに投稿しました。スカイマークに関しては当初からデルタ航空との提携が最も可能性が高いと認識していたからです。その後、スカイマークは東京地裁に民事再生法を申請し受理されて現状に至っています。

今回の流れを整理してみます。スポンサーに名乗りをあげた、米リース会社イントレピッド・アビエーションは、ANAを中心とした支援策に反対を表明しています。ANA以外の航空会社を中心とした独自案を検討しておりデルタ航空にも支援を要請していました。

●今回の支援のねらいは

スカイマークの債権者は エアバスに積極的でないANAを快く思っていません。理由は受注による経済メリットが期待できないからです。エアバスはANAを排除したいはずですが現状は国交省の管轄です。国交省の航空行政は、アメリカに弱い側面がありますが現段階では口を挟むことはしないでしょう。

そしてスカイマークに影響力を与えられる方策をシミュレーションしているはずです。米国ビッグスリー(デルタ航空、ユナイテッド航空、アメリカン航空)のなかで、圧倒的に太平洋ルートを抑えているのが、デルタ航空、ユナイテッド航空です。一時期、デルタ航空の成田発着数はANAすら圧倒していた時期があります。

●デルタ航空のメリットは

デルタ航空にとって、スカイマーク支援により得られるメリットは大きいものがあります。羽田スロット(発着枠)は現状では国内航空会社のみの割り当てですが、デルタ航空の支援が現実になれば、羽田スロットを手にできる好機になります。実現すれば海外の航空会社としてはじめての割り当てです。

航空連合に目を向ければ、国内では、JALが加盟するワンワールドパートナー、ANAが加盟するスターアライアンスがありますが、既に日本での基盤があることからスロット獲得に強い意欲は示していません。デルタ航空が加盟しているスカイチームは、日本国内線での共同運航パートナーがなく羽田スロットの獲得に最も意欲を示しています。スカイマークの中でも中心的存在であるデルタ航空が名乗りを上げることは当然の流れでしょう。

そして最後に航空交通管制権があります。日本の航空管制における優先権はアメリカにあることも忘れてはいけないポイントです。

尾藤克之
経営コンサルタント
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