共和党の米大統領選に、オハイオ州知事のジョン・カシチ氏が参入。激戦の様相を呈するレースは、ジェブ・ブッシュ元フロリダ州知事やテッド・クルーズ米上院議員(テキサス州)、ニュージャージー州のクリス・クリスティ知事を含め16人に達しました。
2016年11月8日の米大統領選を控え、最も支持を集めている候補者は誰なのでしょうか?一足早くワシントン・ポスト(WP)紙が世論調査を実施したところ、本命視されていたブッシュ候補は3位(12%)に甘んじています。2位は大胆にも財政改革の名の下に州職員が持つ集団交渉権の制限に踏み切ったウィスコンシン州のスコット・ウォーカー知事で13%。そうなると、1位は・・。
ビジネス界の炎上番長、ドナルド・トランプ氏です。
トランプ氏と言えば不動産王として名を馳せるだけでなく3度の結婚と4度の破産(1991年、1992年、2004年、2009年)で知られるほか、度重なる失言で注目を集めてきた人物。最近では「メキシコ移民は精鋭ではなく、違法ドラッグの売人であり犯罪者でレイプ魔だ」とトンでも発言で世間をアッと言わせたものです。火消しに急いだものの、後の祭り。メキシコ系移民をはじめ、リベラル派から総スカンを食らいました。
しかし、少なくとも移民に関するコメントは保守派から拍手喝采で迎え入れられたようです。支持率は24%と、2位のウォーカー知事にダブルスコアに近い差をつけていました。ただし調査中、マケイン米上院議員(アリゾナ州)に対し「捕虜になったから英雄視された」と暴言を吐いたため、直後に支持率が急低下したといいます。逆に言えば、もっと高かった可能性を残す。発言内容は不適切で非人道的ながら、保守派に集中アピールしたトランプ氏の戦略は間違っていなかった——それだけ極右勢力の不満が溜まっているという証と考えれば、背筋が寒くなってしまいます。リベラル派いわく「共和党陣営はヒラリーに政権を取って欲しいんだな」と、いたって楽観的でしたが。
集計結果は、以下の通り。
(出所:WP)
8月6日にオハイオ州クリーブランドで開催される討論会までに、候補者は10人をメドに絞られる見通し。WP紙の結果を踏まえると、ルイジアナ州知事でインド系のボビー・ジンダル候補(支持率2%)、オハイオ州知事のカシチ候補(2%)、ジョージ・パタキ元NY州知事(1%)、リック・サントラム元米上院議員(1%)、ヒューレット・パッカード元CEOのカーリー・フィオリーナ候補(0%)、リンジー・グラハム米上院議員(0%)が離脱を余儀なくされる公算です。
民主党の5人の候補者の間では、ヒラリー候補が頭ひとつもふたつも抜けて63%を集めていました。2位のバーニー・サンダース米上院議員(バーモント州)は14%でしたから、4倍超えです。3位は恐らく出馬しないであろうジョー・バイデン氏ですから、ヒラリー候補に一本化された状況に変わりありません。
(カバー写真:Cleveland.com)
編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2015年7月21日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。