「不適切会計ではなく、明らかに粉飾といえるレベル」の「東芝不正会計問題」につき、Twitter等で私にコメントを求める向きがありました。
之は、今年4月東芝社内に設置した「特別調査委員会」で決着点を見出せなかったが故、そのひと月後「第三者委員会」に調査を委ねてきたものです。
本件の端緒よりその推移を見、「之はやばい話では?大事になるなぁ」と思っていたところ、事実営業利益「かさ上げ額は社内調査で当初判明した500億円強の3倍」にも膨らんだようです。
「経営トップが現場を追い込む」「上司に逆らえない企業風土」等々、当該事件が生じた状況に関し様々な指摘が為されていますが、「何故ここまでやったのかなぁ」というのが私の率直な感慨です。
証券取引等監視委員会はこれから後、「東芝が8月末に提出予定の訂正有価証券報告書などを調べ、重大な虚偽記載があったと認定すれば課徴金額と合わせて金融庁に勧告する見通し」です。特に、調査されていた期間で3330億円の公募増資を含め1兆円も資本市場で調達している点が極めて重要です。
勿論この課徴金処分は、今回のケースで妥当かと思われます。但し各種報道にある通り仮に東芝株が上場廃止を免れるとすれば、その一部で脈々と不正が内密に受け継がれ事件化したオリンパス同様に私は理解に苦しみます。
9年前のライブドア事件を例に考えてみても、ライブドア株は当然ながら上場廃止になりホリエモン等は逮捕までされたわけで、一体如何なる根拠で以て株式上場の是非が決せられるのでしょうか。腑に落ちないのは、オリンパスの上場維持に限った話ではありません。
法的整理を行わなかったが為その後深刻化し続けた東電破綻処理問題は“Too Big to Fail(大き過ぎて潰せない)”ということでありましたが、東芝の件も同様に株主総数が多いから世界的企業だから上場廃止は出来ないと取れる形に今のところなっているよう思われます。
こうした判断の公平公正は何処に在るのか、上場維持の判断基準は如何なるものか、大き過ぎるから日本を代表する国際的な企業だから上場維持という判断で本当に良いのか――昨日のブログでも述べましたが、之また「信なくんば立たず」(顔淵第十二の七)そのものでありましょう。
昨日開かれた記者会見で東芝の田中久雄前社長は、「『プレッシャーがあるから不適切な会計処理が許される』という意識が社内に少しでもあったのならば、深く反省しなければならない」と述べていました。
今回「経営トップらを含めた組織的な関与」が断定され、上記の如く異常とも言える企業風土が醸成されてきた事実に鑑みれば、それを生み出してきた責任はOBと雖も指摘されねばなりません。
そういう意味では、例えば東芝の社長・会長を務め今も相談役である西室泰三氏が過去日本経団連の会長をされ、現在日本郵政のトップであること自体も追及されるべきだと考えています。
本日付で社長兼務となられた東芝の室町正志会長は今月初め、此の西室氏の所を訪ねられ人事につき話されたとも報じられますが、何れにしろ此の際全ての病巣を摘出すべく、これまでをきちっと清算し総括した上で、再生を目指さねばならない話だと私は思っています。
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