韓国の謝罪要求には「無視」が一番

井本 省吾

産経新聞・ソウル駐在客員論説委員の黒田勝弘氏が「『謝罪』の要求、中国には遠慮」という記事を書いている。その中で、次のくだりが興味深い。

(朝鮮戦争では中国軍の侵攻で韓国は膨大な死傷者を出している。)       韓国の公式的な歴史認識でいえば中国は侵略者であり、南北(朝鮮)統一の妨害者なのだ。ところがその中国に対し、韓国は「謝罪と反省」など一度も要求したことがない。中国も「謝罪と反省」どころか「英雄的戦い」といって、あの戦争を今も自賛している。

92年の韓中国交正常化後、数多くの首脳会談があったが朝鮮戦争をめぐる「歴史認識」「歴史清算」「謝罪と反省」が話題になったことはない。しばしば韓国の外交当局者に「なぜ要求しないのか」と質問したが「中国は応じないから」が答えだった。とすると日本への執拗(しつよう)な要求は、日本なら応じると思われているからということになる。日本への甘え?

まさに「甘え」なのである。それを許している日本は「お人好し」である。何度も何度も謝罪し、それでもなお韓国は謝罪要求を繰り返す。

いい加減、この辺で止めにする。安倍首相の戦後70年談話は、その姿勢が表れており、「謝罪」という言葉を出しながらも、韓国に直接の謝罪はない。

「韓国」という言葉そのものがほとんどない。で、韓国マスコミは「自分の言葉で謝罪がない」と非難したが、巧妙な仕掛けの安倍談話に戸惑いが目立ち、非難に迫力がない。

朴槿恵(パク・クネ)大統領も、安倍談話に対し「物足りない部分が少なくない」としながら「謝罪と反省」の言葉を評価し、「今後、日本政府の誠意ある行動」に期待するとしている。黒田氏の評価はこうだ。

「不満だが今後を見守る」というのは、韓国が対日外交で事態収拾の際によく使う言い方だ。つまり、これまで官民挙げて熱を上げてきた安倍談話をめぐる“反日外交”が一件落着したことを意味する。

韓国の不当な謝罪要求は「無視」する。これが正しい外交のあり方だ。

朴大統領は9月3日に中国が行う「抗日戦争勝利70周年記念行事」に出席すると発表した。中国に謝罪要求しないどころか、日本や米国など西側諸国がこぞって出席しない行事に出席するというのだ。「抗日戦争」という歴史は中国共産党には存在しないにもかかわらず、だ。

ますます韓国とは距離を置いて付き合うに限る。淡々と。