低温に耐える「チタンの女」とは誰か

「鉄の女」という称号は、マーガレット・サッチャー元英国首相のものだが、彼女の専売特許ではない。この称号を賜った女性首長は、インドのインディラ・ガンディー元首相やイスラエルのゴルダ・メイア元首相、ウクライナのユーリヤ・ティモシェンコ元首相など枚挙に暇がない。また、フィリピンのイメルダ・マルコス元大統領夫人は「鉄の蝶」と呼ばれ、米国のマデレーン・オルブライト元国務長官は「チタンの女」と言われていたようだ。

「チタンの女」というのはいったい何か、と言えば、サッチャー元首相が「鉄の女」と呼ばれるようになった理由と関係している。「鉄の女」は、旧ソ連に対して強硬な姿勢を取ったことから旧ソ連のメディアから揶揄気味につけられたアダナだが、オルブライト元国務長官もロシア政治専門家として対ロシア外交に強面の態度で臨んだ。その意味で、サッチャー元首相との対比から、オルブライト元国務長官を英国の保守系メディアであるデイリー・テレグラフ誌が半ば賞賛を込めて「チタン」と呼んだらしい。

表題の記事では、新しい「チタンの女」を紹介している。それは、ヒューレット・パッカードの元CEOカーリー・フィオリーナ(Carly Fiorina)氏だ。しかし、彼女は同社の業績を上向かせることができなかった。また、2010年には、カリフォルニア州選出の上院議員候補となったが、民主党の現職に破れて政界進出はできなかった。記事では、米国大統領選挙にフィオリーナ氏が共和党から立候補したこととサッチャー元首相の「鉄の女」エピソードを結びつけて紹介。チタンは耐久性もあり低温に強く、共和党のライバル候補ドナルド・トランプ氏の(女性蔑視の)冷たい視線にも耐えるだろう、と書いている。

WND
The Titanium Lady


Axel Springer Wants to Buy Business Insider for Around $560 Million
re/code
BUSINESS INSIDERといえば、米国のwebメディアとして確固とした位置を占めている。2009年の開始だが、すでにニューヨーク・タイムズなどの主要メディアにも記事が引用されるなど、その影響力は無視できないものになった。そんなBUSINESS INSIDERを600億円ほどで買収しようとする動きがあるらしい。この記事によれば、ドイツの出版大手アクセルシュプリンガー(Axel Springer)が食指を動かしているようだ。同社を創業したシュプリンガー氏は、ドイツ国内の新聞や雑誌などを次々に買収し、ドイツ国内のメディアの1/4を掌握する保守系の「メディア王」だった。BUSINESS INSIDERは、市場から十数億円規模で資金を調達できるだけの実力を持つが、収益性の面ではwebメディアの例に漏れず、ちょっと不確かだ。BuzzFeeDやHuffington Post、Voxなど、ウェブメディアの買収が活発だが、今回の動きがどうなるか要注目だ。

Publishers join Facebook and Twitter in rush for buy buttons
VB
webメディアが、eコマースに続々と乗り出し、SNSを活用するようになっている、と書いている記事だ。メディア側は、衣料品や雑貨などの各小売業者と収益を分配するだけだ。Amazon、Crate&Barrel(家具や雑貨)、Nordstrom(衣料品)、H&Mなどと契約しているらしい。小売業者側は購買につながるだけでなく、ネット上に広告を出せるし、認知度を上げることもできる。こういうことが広がると、単に軒先を貸しているだけの楽天などは困るのではないだろうか。ただ、ネット利用者の側にとっては、押しつけ広告や購買ボタンが増えるだけだ。これを消すために課金、という流れもさすがにもうないだろう。

アジアのスマホ利用者の半分以上がメッセージアプリを利用/20代の3割以上は2台を併用【電通調査】
MarkeZine
日本の話ではない。中国(都市部)、香港、台湾、マレーシア、ベトナム、フィリピン、インド(都市部)、タイ、インドネシア、アジア9カ国での調査。ガラケー、というのはすでに日本固有に端末になっているようだ。中国では調査対象の99%がスマホを持っている。さらに、複数台を使い分けている、ということなんだが、いったい何に使っているのだろう。料金の安い通話用やゲーム専用、タブレットなどが含まれているのかもしれない。

Netanyahu says he agreed to deal with Putin to avert Syria clashes
STARS AND STRIPES
シリア情勢が変転している。ロシアは従来からの狙い通り、シリアへ兵器を運び入れ、アサド政権のてこ入れを始めた。この記事では、イスラエルのネタニヤフ首相がプーチン大統領とシリアでの衝突回避で合意した、と書いている。イスラエルとシリアは今は停戦しているが実質的な交戦状態にあり、ロシア製の武器や軍事顧問団と称するロシア軍とイスラエルが偶発的に戦闘を始める危険性が危惧されてきた。これだけシリア発の難民が国際的に問題になっている以上、イスラエルとしても表立ってシリアの「正常化」に異を唱えるわけにはいかないのだろう。ただ、レバノンについて両者は牽制し合っている。イスラエルはレバノンのヒズボラへロシア製の武器を引き入れられてはかなわない、というわけだ。


アゴラ編集部:石田 雅彦