階段や傾斜地にも着陸できるヘリコプターとは

ヘリコプターに乗ったことがある人ならわかるかもしれないが、あれほど不安定で乗っていて怖い乗り物はそうない。シートベルトでガッチリと固定されていても、遠心力で外へ飛び出そうになる。そもそも回転翼であるメインローターからして巨大な遠心装置であり、グルグル回転しそうになる機体を尾部の小さなローターでかろうじて制御しているわけだ。

陸自にいた友人がヘリコプターのパイロットになろうとしたが、結局、あきらめた。彼は中学時代にスポーツ万能でかなり運動神経のいい男だったが、ヘリコプターの操縦には独特の平衡感覚や瞬時の判断力などが必要なのだと言う。乗っていても不安なのだから、あれを実際に自在に飛ばすとなるとかなり難しいだろうという想像だけは運動音痴の当方にもつく。

表題の記事では、ヘリコプターの脚について書いている。アクション映画などを観ていると、ヘリコプターがなかなか着陸できずにイライラすることがあるが、どこでも自由に離着陸できるものではない。巨大な回転翼が少しでも何かに触れれば、途端に機体はバランスを崩してしまう。この記事で紹介している「ロボット脚」は、着陸地点の傾斜などにフレキシブルに対応でき、波に揺れる洋上の母艦など不安定な足場でも楽に着陸できるようになっているらしい。

米国ジョージア工科大学が、ペンタゴンのDARPA(the Defense Advanced Projects Agency、国防高等研究計画局)の依頼で作ったそうだ。これを使えば、階段状のデコボコした場所にもヘリコプターを着陸させることができる。救助はもちろん軍事侵攻の際にも威力を発揮できそうな技術だ。

livescience
Flexible Robo-Legs Could Help Helicopters Stick Tricky Landings


2-million-year-old fossils reveal hearing abilities of early humans
ScienceDaily
CTスキャンやコンピュータの画像解析の技術が進歩し、古代の化石からその解剖学的な機能まで明らかになってきている。恐竜の一種にパラサウロロフス(Parasaurolophus)という草食恐竜がいたが、頭頂から後頭部にかけて突起状に伸びている頭部が特徴だ。発見された当初は、水の中からシュノーケルのように呼吸する器官か、などと言われていたが、CTスキャンの解析により鳴き声を反響させたり、交尾の際のディスプレイに使われていた、と考えられるようになっている。この記事によると、約二百万年前の人類の祖先の化石を調査したところ、当時の人間の聴覚がわかったらしい。まだ、チンパンジーに似ていたが、言葉を聴き取る周波数へ少しずつ聴覚がシフトしていく途中段階になっていたそうだ。

Advocates: Oyster farming may hurt threatened shorebirds
PHYS.ORG
養殖牡蠣では海水の水質が、牡蠣の品質のためには重要になってくる。どんな海水にも少なからず大腸菌などの人間に害を及ぼす雑菌が含まれているわけだが、その量や毒性によって生で食べることができるか、加熱処理が必要かが変わってくるからだ。クマモトという品種の牡蠣があるが、小粒ながら濃厚な味で人気だ。これはもともとは有明海や天草あたりで採れた牡蠣だが、国内産はもうほとんどない。シアトルやバンクーバーなどで養殖されたものが、輸入され、国内のオイスターバーに並んでいたりする。表題の記事では、米国の牡蠣養殖が水鳥の生態に悪い影響を与える、と書いている。養殖業者の活動が水鳥を脅かし、営巣や休憩などの妨げになるからだそうだ。

Renewables overtake coal in the UK energy mix for the first time
Gizmag
原発はいずれは消え去る運命の技術だが、再稼働にばかり気を囚われていると再生可能エネルギーのイノベーションがおろそかになる。すでに日本はその兆候があり、またぞろ電力会社やエネルギー行政が蠢き始めている。究極の目的は安くて安全な電気供給の実現だが、世界中が技術開発の競争をしている中、この分野に限らず、日本はどうもおかしな方向へ進もうとしているような気がする。

Russian Cockroach Robot Could Save Lives And Spy On People Too
TECH TIMES
通常は毎秒10センチで移動するが、スピードアップすると毎秒30センチの速さで動くゴキブリロボットをロシアの研究チームが開発したらしい。ロシア軍が興味を示しているようだが、もっと小さなハエ様の集合ロボットやマイケル・クライトンの小説『プレイ』に出てきたようなナノサイズのロボットも実用化されつつある。将来の戦争は、人と人が戦うのではなく、無数のドローンや超小型ロボットによる飽和攻撃がメインになるのかもしれない。


アゴラ編集部:石田 雅彦