「学校社会主義」を卒業して教育の自由化を

国立大学の授業料53万5800円を私立の平均(約86万円)まで引き上げる財務省案が反発を呼んでいるが、これは当たり前だ。Vlogでもいったように、大卒平均と高卒平均の生涯所得の差は約5000万円なので、4年間で340万円の授業料でも収益率は10倍以上である。

今週のブログでも書いたように、大学の私的収益率は高いが社会的収益率はマイナスだ。これは大学の主な機能が、教育機関ではなく選別機関だからである。したがって「人物本位」の入試にすると情実入学が横行し、大学入試の選別機能が低下する。

これから知識集約型の産業で食っていく日本で、教育はもっとも重要な産業だが、それを文科省が社会主義的に管理していることが改革を阻んでいる。学生数に応じて一律に支給される私学助成は廃止し、国立大学への財政支出も削減すべきだ。公的支援は奨学金(バウチャー)にし、塾や専門学校などにも(一定の基準をクリアすれば)支給することが望ましい。

日本政府の教育支出はGDP比で0.5%と、主要国で最低だ。教育への公的支援を増やすことは必要だが、その重点は幼児教育に置き、教育機能のない保育所は廃止して幼稚園に一元化すべきだ。

今の学校という入れ物は、教育には適していない。小中学校は規律をたたき込む訓練機関であり、それが荒れる原因だ。大学は学歴によるシグナリング装置であり、それが文系大学の空洞化する原因だ。

インターネットなど多様なメディアが使える時代に、個人差の大きい子供にあわせて効率的に教育するには、「学校社会主義」を卒業し、幼児教育を含めて教育の自由化を進める必要がある。