多様な価値観が単一な価値観を否定するという矛盾

こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。
本日は日曜日で官公庁や施設・事業者などのアポイントが取れないため、オランダ内の移動と大使館からレクチャーを受ける座学の日でした。


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オランダでは児童福祉の他に、LGBT・同性婚法制化や安楽死の容認など、「多様性」において先進的な政策を見る予定ですので、今日はそちらの話しをば。

マリファナや麻薬の一部、果ては売春まで合法化するなど、オランダのイメージはとにかく「寛容」「自由」という方が多いのではないでしょうか?

これは歴史的に、現在のオランダと呼ばれている地域には国王も宗教もない時代に多様な人々が移り住み、伝統的に多文化政策主義が取られてきたことに背景を持つようです。

そんなオランダは、2001年に世界で初めて「同性婚」を法制化した国として有名です。
この動きをきっかけにEU・欧州全体でLGBTの権利が認められはじめ、今では数々の国がオランダの動きに追随しています。

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こうした家族の在り方・生き方に寛容であれば、オランダはまた「死に方」にも寛容な考えを示します

難病などで生きる見込みが少なく、医療ケアが苦痛でしかない人が、自ら死を望んだ場合に許容する「安楽死」については、様々な議論がある中でまだ多くの国で実施が認められていないのが現状です。

オランダでは1973年に実の親を医師が安楽死された事件をきっかけに国民的な議論が始まり、ついに2002年に所謂「安楽死法」が可決されました。

・患者からの任意かつ熟慮された要請がある
・圧倒的に医療的な苦しみがある
・他に合理的な解決策がない
・独立した医師によるセカンドオピニオン

などの条件を満たした時に、医師によって投薬や注射による安楽死が認められるもので、2012年には4,188人がこの「良き死に方」を選択。
これが年間死亡数の約2.8%にあたるそうです。

安楽死が原則として認められていない我が国では、高齢患者がほぼ意識を失い、それでも本人以外の意志によって延命されている実態がありながら、なお国民的な議論が起こるには至っていません。

一方のオランダでは、最近ではなんと

「終身刑の受刑者が望んだ場合、安楽死は認められるか否か」

という議論が一部でホットイシューとなっているそうです。
なんというか、一周二周という単位じゃないくらい先を進んでますよね…。

こうした生き方から死に方に至るまで、一言で言えば「多様な価値観」を認めることにオランダの特徴があると言えます。

一方で当然、上記のような同性愛や安楽死の許容といったリベラルな価値観とは間逆な考え方を持つ人々もいます。そう、厳密な戒律を持つ「ムスリム」の方々です。

では彼らの考え方も、「多様な価値観の一つ」としてオランダ社会は快く受け入れることができたのでしょうか?
現時点での答えは、残念ながら「No」のようです。

多様な価値観を許容し続けてきたはずが、それを否定する「単一な価値観」を持つムスリムに対する反感が高まってしまい、その価値観を排除するという現象が起きています。

2001年に起きた9.11テロ以降、特にトルコ人ムスリムへの風当たりは強く、就業などに苦戦しその失業率は一般的なオランダ人の5倍以上となっており、社会問題化しているとのこと。

この事実は、今後の社会運営を占う上で非常に重要な示唆に飛んでいます。
「多様な価値観を認めよ!」という主張のはずがいつのまにか、自分たちが良しとする価値観の押し付けになってしまう。

これは誰しもが陥りやすい、落とし穴ではないでしょうか。
古来からあらゆる宗教・人種に寛容であったオランダですら、例外ではなかったのですから。。

昨今の移民・難民問題も混ざり合い、オランダは1つの正念場を迎えています。
彼らがこの局面をどう乗り切るのか注視するとともに、

「異なる価値観の共存とは何か」
「多様性を受け入れるとは、どういうことか」

を、いま一度考えなおさなければならないと強く感じる次第です。
例えば、、

「男女は平等だ」と誰もが思っている世界が健全なのか。
「男の方が女より偉いに決まっている」と思う人も許容するのが、豊かな社会なのか。

皆さまは、どのようにお感じになりますか?
私自身も視察の中で、答えを考えていきたいと思います。

それでは、また明日。

おときた駿 プロフィール
東京都議会議員(北区選出)/北区出身 31歳
1983年生まれ。早稲田大学政治経済学部を卒業後、LVMHモエヘネシー・ルイヴィトングループで7年間のビジネス経験を経て、現在東京都議会議員一期目。ネットを中心に積極的な情報発信を行い、地方議員トップブロガーとして活動中。

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