2016年 世界のリーダーは誰か?

素晴らしいリーダーシップと人望と期待感をもった頼れる人が国や世界を引っ張る、という設問を考えてみました。が。くるっと世界を見渡してもどうしても描けません。これが私が単に想像力の欠如の問題であればよいのですが、実情はやはり難しい気がします。

一般的に影響力のある大国といえばアメリカ、中国、ロシア、ドイツがまず上がるでしょうか?ドイツは欧州の小国群の中では中心的存在であることとイギリスの様に島国ではなく、大陸側の思想をくみ取れるという意味があります。

そのドイツは2009年の欧州危機、その後のギリシャ問題あたりに於いてメルケル首相の力は圧倒しており、正に欧州のリーダーとして輝かしい活躍をされていました。過去形の表現にしたのは今、その時の勢いは全くないからであります。私が時々指摘する「人の栄華と賞味期限」を考えるとメルケル首相はエネルギーを出し切ってしまい、悪いサイクルに入り始めました。難民問題しかり、フォルクスワーゲン問題しかりです。

アメリカは実に混とんとしています。来年11月の大統領選挙まで1年強となりましたが、有力候補が出ては頭を叩かれる「モグラたたき」状態になっています。大統領選のトレンドとしてまず、クリントン、ブッシュの二大対決になると騒がれていたのが夏前。ところが、ブッシュはトランプに頭を抑えられ、クリントンはほぼ自爆でおまけに日経に「貧乏神」と書かれるほど経済界から忌み嫌われる政策を掲げようとしています。

ところで先日、歯医者で担当医が「あなた、(19日にある)カナダの総選挙どう思う?」と聞くので「カナダ人は今の政治に不満かな?こんな混とんとした世の中でローキー(目立たない)なりによくやっていると思うよ。」と答えたところ、「カナダ人は(2006年2月からやっている)今の首相(ハーパー)に飽きたのよ」。もっとしゃべりたかったのですが、こちらは口を開けて治療を受けている以上、しゃべれないもどかしさが残りました。ただ、その話題の最後に「じゃぁ、聞きますが、アメリカの大統領選はどう思うの?」と私が質問を差し向けたら「トランプ?ははは。世界の終わりね。でも誰も本命がいないわ」と。

アメリカが不安になるもう一つの要素は2010年から務めていたベイナー下院議長が10月末で辞めることでしょうか?彼は共和党側として民主党との好ネゴシエーターであったと思います。債務上限問題で再三の危機を乗り越えたのもベイナー議長が共和党の強硬派を抑えた部分は大きいと思います。

そんな焦点の定まらないアメリカに於いてオバマ大統領は唯一、新聞記事を飾ることが出来る外交に力を入れています。朴大統領との会談も決まったようですが、要はオバマさんは今は暇なので外から来るお客様はウェルカムなのであります。但し、会ったところでなんの効果も期待できないのも事実で、ここにプーチン大統領は目をつけているように見えます。

プーチン大統領がなぜ、いま、シリアのアサド大統領支援を掲げ、突如、空爆を含む大規模な戦闘を行っているのでしょうか?理由はいろいろあるでしょう。しかし、最大の目的はプーチン大統領の力を見せるには絶好のチャンスが到来したからである、ということです。アメリカもドイツも国内のことで一杯いっぱいである今、この戦闘に賭け、ISを打倒し、プラスイメージを得、難民問題解決の支援をすれば欧州は喜びます。

まるで世界の国々でオセロゲームをしているようなもの、これが今の混とんとした世界であります。

そういえば北朝鮮の党創建70周年記念パレードをテレビで見ていたのですが、あれっと思うくらい明るい顔をしていたのが金正恩最高指導者。今の韓国とは真逆なイメージを持ったのは私だけでしょうか?何か変です。

しかし、こう考えてみるとロシアや中国の指導者が元気いっぱいなのに対して西側指導者は国内外の問題に手を焼いているというのが構図で2016年はこの色合いが更に強まる感じがします。

これは逆に言うと安定感が欠如し、何が起きるか予断を許さないともいえます。西側諸国のリーダーは国内問題で手いっぱいで自分を守ることが主体となっています。フランスのオランド大統領はあまりにも普通の人すぎて名前すら出てこなくなりましたし、イギリス キャメロン首相も来年あたりはEUに加盟存続するかを問う国民投票があり、こちらも国内問題に集中するでしょう。

日本の「アベさん」はどうかといえば、多分、近隣諸国との関係に忙殺される気がします。すなわち、ロシア、中国、韓国であります。日本の防波堤を守るという意味あいではこちらも国内問題ともいえ、2016年はあえて言うならプーチン氏が頭一つ目立ち、如意棒を振り回すのかもしれません。

そういう意味でやや安定感を欠く年になるのかもしれません。

では今日はこのあたりで。

岡本裕明 ブログ 外から見る日本、見られる日本人 10月16日付より