気になる言葉、嫌いな言葉

降水確率
天から水が降ってくるわけではない。降るのは雨、雪、みぞれ等である。なぜ降雨確率又は降雪確率と言わないのか。

登校拒否になった
まるで「登校拒否」という病気があるみたいだ。「登校しなくなった」でいいじゃないか。病気だと思うから間違った対応を仕勝ちである。

かつて
「かつて」は副詞なんだから「かつてのように」とか「かつては」などと名詞的な使い方はできないはず。

真逆(まぎゃく)
なぜ正反対という立派な言葉があるのにわざわざ「真逆」を使うのかわからない。

関係性 距離感
単に関係と言えばいいものを最近何故か「関係性」という人が多い。単に距離と言えばいいものを「距離感」を使う人がある。「距離感」を使う必要があるのは、ゴルフと車の運転中しか考えられない。

一部を除いて
論理学の証明でもあるまいし、「一部を除いて」なんて仰々しくて好きになれない。 「ほとんど」或いは「大部分」でいい。

ほぼ
最近やたら目につくようになった。別にまちがってはいないが他にも「ほとんど」「大部分」「大概」等いくらでもあるのに何故かこればかっり使う人が多い。

冷静な
最近褒め言葉としてよく見かける。「冷静な意見」など。私なら「穏当な」とか「当を得た」を使うところ。英語の「クール」の影響だろうか。

逆に言えば
これは大流行中。やたら耳にするし、お目にかかる。特別の意味なく使われることも多い。もし私が使うとすれば「敷衍(ふえん)すれば」とか「見方を変えれば」を使う。

意味の重複
株価は値上がりしました
これは「価」と「値」が重複している。だから「株価は上がりました」又は「株は値上がりしました」でないとおかしい。

四大メジャー大会(ゴルフやテニスなどの)
これは「大」と「メジャー」が重複している。「四大大会」でいい。

巨人軍は永遠に不滅です
これは巨人軍の某終身名誉監督の引退試合での言葉。不滅自体に永遠の意味があるから単に「巨人軍は不滅です」でいい。
巨人で思い出したが、今日巨人の球団代表が「高橋由伸氏に監督就任を要請したのは長嶋さんの強い推薦があったから」と述べた。人事の内幕をバラすのはどうかと思うが、取りようによっては責任逃れにも聞こえる。つまりうまく行かなければ長嶋さんのせいにできる。

目線
元々映画、演劇、テレビ界の用語。もちろん今ではれっきとした辞書にもあり、耳にしない日はないくらい。「上から目線」など。だが私は決して使わない。同じ使うなら「視線」とか「まなざし」を使う。

翻訳臭の強い言葉
保守的
経済ニュースでよくお目にかかる。例えば今季利益予想は「保守的」等。日本語として余り感心しない。「控えめ」とすべきだろう。
限定的 
これも経済ニュースでよくお目にかかる。例えば新聞の株式市況で「円安・原油安が下支えするも、上値は限定的」。文字数が少なくて済むので見出しには都合がいいのだろう。

何かを語っているようで実は何も語っていない
例えば 米国経済への過剰な期待は誤り
「過剰」自体に否定的意味があるのだから、これは「間違いは間違い」と言っているのと同じでほとんど無意味。問題はどこまでが「適正な期待」でどこからが「過剰な期待」かである。

前提条件付き結論(~すれば~だろう)
例えば、「政府の景気対策の効果が現れ、米国経済が回復すれば日本経済も回復するだろう」の類。まさに前提となる「景気対策の効果があるかどうか」、「米国経済が回復するかどうか」が問題なのだから、これは「犬が西向きゃ尾は東」同様何も語っていない。仮に日本が景気回復しなくても、「前提条件が成就しなかったのだから予測が外れたわけではない」と逃げられる。専門家は立場上「わからない」と言えないものだからこうした言い方でごまかすことが多い。
スポーツ評論家にこうした手合が多い。例えば「宮里藍はパットが復調すれば上位進出もあり得る」。これも絶対に外れない予想だ。だが正に「パットが復調するかどうか」が問題だ。

青木亮

英語中国語翻訳者