不動産投資の最終判断はリスクとリターンの水平比較 --- 内藤 忍

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土曜日朝から来ているホーチミン。2日目も精力的に視察をしました。午前中は現地で賃貸の仲介を手掛けるエヌアセットベトナム社のディレクター西村氏にお話を伺いました。購入後の管理に関する不安が解消され、後は物件のセレクションです。

その判断基準は、まずグロス利回り(経費差し引き前の賃貸利回り)です。リスクに比べ、グロス利回りが高いと判断すれば、「投資はあり」という判断になりますし、リスクの方が高いと考えれば、見送りという選択肢になります。

グロス利回りの計算には、総投資金額と賃料という2つのデータが必要です。

総投資金額は単に物件の販売時の表示価格とは限りません。なぜなら、物件の引き渡し基準が物件によって異なるからです。新興国のブレビルド物件(完成前の販売物件)の場合、スケルトン渡しといって壁の造作やエアコンの設置などから自分でやらなければいけないケースもあります。内装を自分で決めて施工業者に依頼し、さらに賃貸に出すためには、ソファやテレビなどの購入も必要になります。

このように総投資金額がいくらになるかは、最終的に賃貸できるまでにかかるコストも含めて計算しないと、後から想定外の出費に悩むことになります。

また、賃料も実際に賃貸してみないとわかりません。周辺の家賃との比較である程度は想定できますが、自分が購入した物件が市場に供給されることによって、需給が悪化して賃料が下がる可能性も考慮する必要があります。数千戸単位で供給があれば、その影響は無視できません。

想定賃料に関しては、販売会社の話を鵜呑みにするのではなく、保守的に仮定する必要があります。

今回ホーチミンで数多くの物件を視察しましたが、最終的にグロス利回りから投資に値すると個人的に判断したのは、1つだけでした。まだ正式に販売開始されていない物件で、今回のツアーの参加者に一般公開の前に紹介してくれた物件です。価格が割安に設定されており、実物資産ならではの「歪み」があると思いました。

ベトナム不動産は外国人に開放が始まったとは言え、まだ細則など不透明な部分もあり、投資家から見ればリスクがあります。しかし、2ケタを超えると予想される超過リターンは、そのリスクの見返りに得られているのも事実です。

実物資産の投資判断には、リスクとリターンの比較を各国間で行うことが有効です。ワインの味わいを同じ銘柄の異なるビンテージで「垂直比較」するように、不動産は各国のグロス利回りとリスクを「水平比較」することで、見えてくるものがあります。ベトナムをはじめ、5ヵ国の不動産投資をまとめてご紹介するセミナーを11月15日に開催します。「水平比較」に、ご興味ある方はセミナーにご参加ください。

また、次回のスタディツアーはスリランカです。浦田健氏が現地で責任を持って手掛ける渾身のプロジェクトをはじめ、スリランカの魅力を一緒に視察しませんか?現地のソウルフードの堪能する楽しく、メリットのあるツアーです。

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編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2015年10月26日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。