在野で政治を話し合うということの地味さ・難しさ --- 宇佐美 典也

この半年、都議会議員の音喜多駿氏と一緒に「あえて政治の話をしよう」というオンラインサロンを展開して参ったのですが、この度めでたく三期メンバーの募集をかけることになりました。

正直なところ政治ネタでオンラインサロンが成り立つとは思っていなかったのですが 、有り難いことにぼちぼちメンバーに集まっていただいて、細々ながら少しずつ運営も拡大して、北区議会議員の斉藤りえさんと、我孫子市議会議員の水野ゆうきさんなどにもライターとして加わってもらっています。またこれまで、小黒一正氏、駒崎弘樹氏、松田馨氏、呉座勇一氏、などを招いて講演会も重ねて参りして、結構マジメな議論をしてきました。
で、こういう活動を積み重ねていく中で感じるのは、「与党外で政治について地に足をつけてに議論する」ということの難しさです。

日本では一時期の例外を除いて基本的には自民党がずっと政権を担って来たこともあって、「野党」というのは「政府を批判しつつ改憲させない」ことが仕事になっている感があります。そういう環境ですと「批判をする」ということに活動のバイアスがかかってしまうわけで(少なくとも国政レベルでは)野党議員の政治活動は地に足のついた建設的な議論をするというよりも、「アンチ与党」的に政府の粗を探したり矛盾をつくことが主にならざるを得ないところがあります。

一言で言えば「野党の立場でマトモな政策論を語っても実現しないんでしょうがない」ということなのですが、結果として政治メディアも含めて我が国の在野の政治議論というのは実現性を加味しない上っついたものになりがちで、実のある建設的な政策議論が官僚に任せっきりになっているのは否めないことだと思います。

英米のようにしばしば政権交代が起きる可能性があるならば、市中でも改革に向けた地に足の着いた議論というものが為される蓋然性というのももう少し高くなる気がしますし、意思さえあれば変わることも可能だと思うのですが、なんというかこの構造に慣れすぎていて野党議員にも支持団体にもメディアにも恐ろしく強い慣性の法則が働いているように感じています。

そんな中で音喜多は都議会の零細派閥の議員で、私も小さな企業を経営しつつ政治がらみのコンサル仕事をたまに受けているような立場でして、両名とも与党とはほど遠い立場にいるわけです。ならば「野党か」というと、その立場に振り切るわけでもなく、宙ぶらりんな「在野」とでもいうような立ち位置にいます。現実を見れば今の与党や政府のスタンスも理解できるけど、持続可能性を考えると何処かで大胆な改革をしなければこの国が持たなくなるのは明らかな中で、そういう構造の中で自分たちが将来的に何が出来るか考え迷っている、というようなところでしょうか。

そんなわけで我々のサロンでは国政レベルの構造に巻き込まれずになんとか在野でも地に足の着いた議論ができなものかと、なんとなく名のある一匹狼な地方議員を中心にメンバーを拡充しているのですが、その分活動が地味になっております。ただなんというか政治の議論って本来こういう地味な物なのではないかとも思っているところでして、これはこれで長く続けて少しずつ大きくしていけば意味が出てくるのでは無いかと期待しております。

そんなわけで「在野で政治について考えたい」という奇特な方は是非サロンにご参加くださいませ。
http://synapse.am/contents/monthly/usamiotokita

ではでは今回はこの辺で。


編集部より:このブログは「宇佐美典也のblog」2015年10月25日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は宇佐美典也のblogをご覧ください。