「原子力の日」に振り返る各党の原発政策まとめ --- 選挙ドットコム

本日10月26日(※アゴラ編集部注・配信元の掲載日)は、政府により1964年に「原子力の日」と制定されました。この日は1956年に日本がIAEA(国際原子力機関)に参加したこと、ならびに、1963年に茨城県東海村の試験炉で日本初の原子力発電に成功したことを記念しています。

一方、1975年ごろから国内の反原発運動ではこの日を「反原発デー」として、活発な抗議運動が展開されてきました。選挙ドットコムではこの「記念日」にちなみ、国政を担う各政党の「原発政策」についての立場を、2014年衆院選公約から振り返ってみたいと思います。
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自民党


原子力については、安全性の確保を大前提に、エネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源との位置付けの下、活用してまいります。

いかなる事情よりも安全性を最優先し、原子力規制委員会によって新規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重し原発の再稼働を進めます。再稼働にあたっては、国も前面に立ち、立地自治体等関係者の理解と協力を得るよう取り組みます。原発依存度については、徹底した省エネルギーと再生可能エネルギーの最大限の導入、火力発電の高効率化により、可能な限り低減させます。

民主党


福島第一原子力発電所の事故原因の解明を進め、規制基準等へ反映させます。原発事故の対応において、汚染水漏れや停電などの事故が多発していることから、再発防止を徹底します。事故時の住民の安全を確保するため、避難計画について国の責任を明確にする制度を整備します。責任ある避難計画がなければ、原発を再稼働すべきではありません。
「40年運転制限制を厳格に適用する」「原子力規制委員会の安全確認を得たもののみ、再稼働とする」「原発の新設・増設は行わない」の3つの原則を厳格に適用する中で、2030年代に原発稼働ゼロを可能とするよう、あらゆる政策資源を投入します。

維新の党


原発依存から脱却。安全規制、使用済み燃料の総量規制・中間貯蔵、損害賠償のそれぞれにつき、ルール化を行う。
過渡期マネジメントを確立する。市場メカニズムによる電力需給調整を行い、原発廃炉と東京電力の破たん処理を進める。電力市場につき、発送電分離と送電系統への接続の平等、再生可能エネルギーやコジェネレーション等の導入促進で、既設原発は市場競争に敗れ、フェードアウトへ。
「核のゴミ」の最終処分の解決なくして原発再稼働なし。
「原発再稼働責任法」を制定。破綻の明らかな核燃サイクルは廃止。廃炉技術と次世代原子炉の研究は継続、そのために既存の原子力研究機関を改組・再編する。

公明党


原発の新設を認めず、原発の40年運転制限制を厳格に適用します。
新しいエネルギー社会を創造しつつ、原発への依存度を可能な限り減らし、“原発に依存しない社会・原発ゼロ”をめざします。

本年4月に閣議決定されたエネルギー基本計画では、原発依存度について、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入等により、可能な限り低減させることとしています。再稼働については、40年運転制限制、バックフィット(最新の知見を適用)、活断層等の徹底調査をはじめとする厳しい規制の下で、原子力規制委員会が策定した厳格な規制基準を満たすことを大前提に、国民、住民の理解を得て判断するとともに、自治体の避難計画が充実したものとなるようしっかりと支援します。

また、使用済み核燃料の再処理は、直接処分を含め、立地地域に配慮しつつ、見直しを検討します。
あわせて最終処分問題についても科学的な知見を踏まえ、国が責任を持って解決の道を検討していきます。高速増殖炉もんじゅについては、廃棄物の減容・有害度の低減等の研究成果を取りまとめることをめざします。

共産党


九州電力川内原発をはじめ原発再稼働に反対します。いま日本のすべての原発は稼働していません。再稼働を行わず、このまま廃炉に向かうことを政治の責任として決定します。
政府が原発の「輸出セールス」に奔走していることは、恥ずべきことです。原発輸出はただちに中止します。

技術的にも展望がなく危険な高速増殖炉「もんじゅ」や再処理工場は廃止し、プルトニウム循環方式(核燃料サイクル)からただちに撤退します。「即時原発ゼロ」を決断し、すべての原発でただちに廃炉のプロセスに入るようにします。原発にたよらず、省エネ・節電の徹底と、再生可能エネルギーの大幅導入への抜本的転換の計画を立てて、実行していきます。

生活の党


原発の再稼働・新増設は一切容認しません。原発は全て廃止し、代わって太陽光、風力、地熱、波力、水力など安全な再生可能エネルギーを急ピッチで普及させます。

社民党


川内原発をはじめ、原発再稼働は一切認めません。原発の新増設はすべて白紙撤回します。福島第一原発5・6 号機と福島第二原発1~4号機、活断層の上に立地することが明らかとなった原発は直ちに廃炉にします。
「脱原発基本法」を制定するとともに、原発立地地域支援のための立法で、国が地域振興と雇用対策に責任を持 ちます。
半径5キロ以内の即時避難区域(PAZ)、30キロ圏の避難準備区域(UPZ)だけでなく、風下となるおそれの ある地域等も含めた実効性のある原子力防災計画を策定するようにします。原子力事業者にUPZ圏内の自治体 との安全協定締結を義務づけます。
「もんじゅ」や再処理等の核燃料サイクル計画からは撤退します。

まとめ


各党とも再生可能エネルギーの推進には前向きですが、「原発再稼働」と「原発の将来像」については立場が分かれています。

「原発再稼働」について、自民、民主、公明は、原子力規制委員会の規制をクリアしたものは限定容認し、共産、生活、社民は再稼働そのものに反対しています。維新だけ「『核のゴミ』の最終処分の解決なくして原発再稼働なし」としています。

「原発の将来像」について、自民は原発依存度は下げつつも「重要なベースロード電源」と位置付けています。民主は「2030年代に原発稼働ゼロ」を目指し、公明も「“原発に依存しない社会・原発ゼロ”」を目指すとしています。共産、生活、社民は原発新増設を容認せず廃止を訴えています。維新は「原発依存から脱却」とするものの「廃炉技術と次世代原子炉の研究は継続」としています。

日本で原子力発電が始まって半世紀以上が経ち、なおも多くの課題を抱える「原発政策」について国政を担う各党の立場を見てきました。2016年参院選においても、これらの「原発政策」は大きな争点となる可能性があります。その時、政界再編はどれほどすすんでいるのでしょうか。選挙ドットコムでは有権者の判断材料となるよう、引き続き各党の政策比較を特集していきたいと思います。

選挙ドットコム編集部


編集部より:この記事は、選挙ドットコム 2015年10月26日の記事『原子力発電成功から今日で52年、「原子力の日」に振り返る各党の原発政策まとめ』を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は選挙ドットコムをご覧ください。