ミャンマーの政権交代がほぼ間違いない状況になっています。
野党NLDを率いるアウンサンスーチーさんから勝利宣言が出される一方、与党USDP党首代行のテイ・ウーさんは「国民が選んだなら受け入れない理由は無い。なぜ負けたのかを解明しなければならない」と敗北を認めています。
※四半世紀の苦難を乗り越え、国の舵取りを担うスーチー氏(作・ssoosay)
1989年の自宅軟禁から26年。
スーチーさんにとっては長い道のりだったでしょう。
ノーベル平和賞の受賞者でもあり、世界の賞賛に値する偉人であることは間違いありません。
しかし、その影となっているテイン・セイン大統領のことも忘れてはならないと思います。
軍事政権でいうとトップは上級大将のタン・シュエ前大統領となりますが、テイン・セイン大統領は上下関係に大きな刺激を与えずに、少しずつミャンマーの改革を実現していきました。
私は2012年の1月に参院国会議員団としてミャンマーを訪れたのですが、その時は大統領に:
「昨日は野党(ミャンマー)の党首たちと会いました。皆さん、テイン・セイン大統領の民主化に懐疑的な見方をしていました。後戻りをせずに、必ず民主化を推し進めて下さい。それが必ず国のためになります」
と、歯に衣を着せず伝えたところ、
「必ずやります」と言って頂きました。
そして最後に「I am sure that you can accomplish(貴方なら絶対に出来ます)」と言ったところ、ニコッと笑みを返して頂いたのがとても印象的でした。
(その時のブログ記事はこちら)
当時は数多くの閣僚と会談する中で、半分は改革派、半分は保守派であることが分かり、この軍人出身者たちをまとめて民主化を進めるのは大変なことだろうと痛感しました。しかし、外圧もうまく取り込みながら、大きな混乱も生じさせず、ここまで進めることができたのはテイン・セイン大統領のバランス感覚があってのことだと思います。
政権を担う事になるスーチーさんは、これからが勝負です。
次に目標とすべきは、大統領の資格要件の変更などもありますが、やはり一番は議席の25%を国軍司令官による指名枠としている憲法条項の改正です。
(同問題についての記事はコチラ)
この規定が有権者の意志を政治に反映させるにあたって最大の障壁になっているからです。
本条項が撤廃され、国民投票によって憲法がより民主的なものへと作り変えられる日がくるまで、国際社会も引き続きミャンマーを見守っていかなければなりません。
同時に、我々日本人も憲法について更に議論を高め、各条項、そして改正の有無についてもしっかりと考えておく必要があります。
来年の参院選は、それを隠さず、争点とすることが重要です。
編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、参議院議員の松田公太氏(日本を元気にする会代表)のオフィシャルブログ 2015年11月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。