日本女性の名誉を守った政府を非難した共産党議員 --- 岩田 温

先日、驚き、且つ、呆れた事件があった。

国連「子どもの売買、児童売春、児童ポルノ」特別報告者のマオド・ド・ブーアブキッキオ氏に関する件だ。

日本の人権状況について調査がなされることに関しては全く問題はない。我々が見過ごしているような人権が蹂躙されている状況があるのであれば、それは是正されるべきであろう。こんなことに目くじらを立てる人はいないはずだ。

だが、調査や提言である以上、事実に基づいたものでなければならないのは当然だろう。捏造された数字に基づいた虚構を「是正」することは不可能だからだ。

日本中に衝撃が走ったのは、ブーアブキッキオ氏が「日本の女子学生の30%が援助交際をしている」と発言していたと報道されたからだ。これでは、およそ女子学生の三人に一人が「売春」しているということになり、この問題こそ、日本が取り組むべき喫緊の課題という話になるだろう。

だが、常識的に考えて、この数字は、異常だ。

実際に確認を求めたところ、30パーセント」は誤訳で、13パーセントだったという。だが、これでも異常に高い数字だ。そもそも、いかなる調査に基いた数字なのかが明らかではない。

こうした事態を受けて、外務省が動いた。国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)に抗議し、発言撤回を求めたのだ。

その結果、11月11日、特別報告者であるマオド・ド・ブーアブキッキオ氏から「13%という数値を裏付ける公的かつ最近のデータはなく、誤解を招くものだったとの結論に至った」という趣旨の書簡が日本政府に届いたという。

ああ、誤解が解けてよかった、と多くの日本国民は思ったはずだ。

だが、こうした日本政府、外務省の功績に関して、何が何でも批判しないと気が済まないという変わった政治家がいる。

日本共産党のさいとう和子議員だ。
さいとう議員は、日本政府が国連に抗議したとの報道を引用しながら、次のように呟いている。

撤回を求めるなら日本政府がきちんと調査すべきです。実態をきちんと明らかにする責任は日本政府にあると思うのです。

※ネット上で波紋を読んだ共産党さいとう和子・衆院議員のツイート

これはおかしい。確かに、日本政府が調査すべき問題なのかもしれないが、今回問題となっているのは、全く事実に基づかない数字が独り歩きしないための措置であって、一刻を争う問題のはずだ。事実に基づかない誤った報告を、国際社会が事実であると受け止められてしまってはならない。だから、政府は即座に対応したのだ。

日本の女性の名誉を守るための行為ですら、糾弾する。これはおかしな行為と言わざるを得ない。

プロフィールをみると次のように書かれている。

憲法9条をこよなく愛し、人を殺すことを正当化する戦争をする意味がわからない。

多くの国民は戦争を望まない。だが、平和を愛するだけでは、戦争を防げない。異常な軍拡を続ける中国に対して、抗議するのなら理解できるが、いつでも日本政府を糾弾し、中国政府のチベット侵攻等々、南シナ海における力による国境変更には口をつぐむ。チベットの人々は平和を望んでいたが、十分な安全保障体制が構築できていたなかったため、侵攻され、平和は蹂躙された。

いつでも日本政府を糾弾すればよいというものではない。今回の国連に対する抗議は政府の功績であって、多くの日本国民はこうした抗議を支持するだろう。




編集部より:この記事は岩田温氏のブログ「岩田温の備忘録」2015年11月12日の記事『日本女性の名誉を守る正当な抗議を非難する不思議な共産党議員』を転載させていただきました(タイトル、画像はアゴラ編集部担当)。オリジナル原稿を読みたい方は岩田温の備忘録をご覧ください。