三度目の正直(最高歳「違憲状態」の判断について) --- 松田 公太


一昨日、最高裁大法廷は、一票の格差が最大2.13倍だった2014年12月の衆院選小選挙区の区割りを「違憲状態」と判断しました。

寺田長官は「13の選挙区で格差が2倍を超えていたことなどを考えると、憲法が求める投票価値の平等に反する状態だった」と指摘し違憲状態という判決を下しましたが、選挙無効の訴えは退けました。

一人一票を巡る訴訟では、①合憲(憲法に反しない)、②違憲状態(客観的に憲法に反しているが国会の裁量による是正を認める)、③違憲(憲法に反しており違法だが選挙は有効)、④違憲無効(憲法に反しており選挙は無効)の4つの判決があると言われています。後のものほど厳しい内容です。

興味深いのは、裁判官の判断の分かれ方。
最高裁判事には「枠」があると言われていますが、出身によって一定の傾向が見られるのです。
長官を含めた定数15名のうち、出身別に6名が裁判官から、4名が弁護士から、2名が行政官僚から、2名が検察官から、1名が法学者から任命されており、現在もそのようになっています。

今回は、0増5減の法改正時に内閣法制局長官だった山本庸幸判事が審理から外れましたので、裁判官は14名。

このうち長官を含む9人が「違憲状態」という多数意見でしたが、弁護士出身の3人の裁判官は「違憲」だと述べ、うち2人が「違憲無効」としました。衆議院選挙を巡って最高裁の裁判官が選挙を無効とすべきとの意見を述べたのは、小選挙区制になってから初めてです。
それに対して、行政官僚出身と検察官出身の2人は「合憲」だとしました。

4つの判断が出そろいましたが、政府に近いほど現状に肯定的で、政府から遠いほど否定的と言えます。ここに最高裁の政治的色彩を見て取ることができます。

内閣に任命権(長官については指名権)があることの危うさと、「枠」制度の意義について考えさせられました。やはり、憲法適合性の終審裁判所が政府の追認機関にならないようにするには、国民審査が機能し、主権者によって直接コントロールされることが不可欠です。

今回で衆議院選挙について最高裁から違憲状態との判断がなされたのは3回連続となりました。まず、格差2.30倍の2009年衆院選が「違憲状態」と指摘され、格差要因の「1人別枠方式」の廃止が求められました(2011年判決)。次に、2.43倍に広がった2012年衆院選も「違憲状態」とされています(2013年判決。この選挙の前には、別枠方式の規定が削除され0増5減となっていましたが区割りが間に合いませんでした)。そして、2.13倍の2014年衆院選についての今回の判決です(0増5減が反映により格差がわずかに縮小しています)。

合憲性の最終判断権者から三度目の是正告知が出されたことになります。

ここで早急に抜本的な解決を図らなければ、国民の政治的不信を強めるばかりではなく、最高裁から違憲という判決(最悪の場合は違憲無効の判決)が下されることになってしまいます。そうなってしまえば、国会議員の資格に疑義が生じ、その活動に正当性が認められないおそれも出てきます(次の衆院選後に成立した法律がすべて無効ということもあり得ないとは言い切れません)。

もちろん、参議院についても同じです(5.00倍の2010年、4.77倍の2013年ともに最高裁から違憲状態とされています)。

今年7月の参院本会議で元気会を含む野党4党(+会派)と自民党による「6増6減、4県2合区」の参議院選挙制度改革案(公職選挙法改正案)が可決され格差が2倍台にまで縮まりましたが、これで終わらせてはなりません。
(さらに良くするための交渉をしていたのですが、このときはこの案が自民党を動かせるギリギリのラインだったため合意しました。)

わが党は投票価値を完全に平等とする「一人一票比例代表制」を目指していますので、法案の付則に、次々回の参議院選挙が行われる2019年までには「必ず」抜本改革を行うという文言を何とかねじ込ませました。

また、日本国憲法下で初めて合区を導入したことや、自民・公明の投票行動を分かれさせたこと等、布石を打つこともできましたので、それらを活かして元気会の目標である「一票の平等」を目指す闘いを始めているところです。

衆・参の選挙制度改革も国民の問題意識が高まれば変わります。ぜひ皆様にも声をあげて頂きたいと思います!



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編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、参議院議員の松田公太氏(日本を元気にする会代表)のオフィシャルブログ 2015年11月27日の記事を転載させていただきました(アゴラ編集部で画像編集)。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。