社民党のクラウドファンディング失敗は当たり前

どうも新田です。現金の取りっぱぐれ案件が相次いで、今週から取り立てモードです。
ところで、都知事選以降、何度かクラウドファンディング(CF)案件に関係してきましたが、先日のウェブニュースで、社民党が政治資金集めにCFを使ったはいいものの、福島みずほセンセとの会食権利を含め、見向きもされず、見事に苦戦中という記事を見かけました。


▲社民党CFの目玉商品(?)福島センセと語る会

クラウドファンディングへの“勘違い”


まあ、ソースが先日、某有名ネット生保の社長に対するしょうもないネガキャン炎上狙い記事で物議を醸したお騒がせメディア「netgeek」なので、なんだかなぁという感じもいたしますが。ただ、以前も、福島センセのCF案件のカネ集めの下手さをお見受けしていたので、記事で取り上げた事実については、さもありなんと思います。

拙著『ネットで人生棒に振りかけた!』で書いた都知事選を含め、私はこれまで3件のCFを経験しましたが、1、2件目は募集額を大幅に上回る大成功。もう1件は目標額の10%も集まらない大失敗。といっても、主催者がワタクシメの忠告に耳を貸さず、ヤル気ナシ男だったため、「あー、やっぱりね」という感じだったのですが、実はその時の失敗例は、おそらく今回の福島センセの案件と共通する部分もあるのではないかとお察ししました。そのことに気づいたのは、記事のこのくだり。

目標金額は20万円。しかし、募集開始から1週間以上も経っているにも関わらず、現在までに集まったのはたったの3.8万円だ。

要は結局、社民党さんはCFというものを、「ネットに募金箱を置いておけば天からお金が降ってくる」のだと“勘違い”しているわけですよ。いま売り出し中のジャンボ宝くじじゃないんだからさ。運営元のシューティングスターの営業担当からも指導していたはずなのですが、私からも申し上げておきましょうか。全体の目標額にもよりますが、CFはスタート初日時点で目標額の3割程度に達するロケットスタートをしないとお金を集めるための求心力やムードは生まれません

CFの主戦場はネットではない


では、ロケットスタートをするためには何をすればいいかというとリアルでの「ドブ板営業」。家族、親戚、友人、知人、政治家なら支援者の方々にとにかく頭を下げて、初期投資をしてもらい、不特定多数のユーザーに「おっ、話題になってるじゃん」と思わせないとなりません。結局、CFは「ネット上に募金箱を置くのではなく、営業用の振込先口座を可視化してスムーズに集金しやすくしたものだ」というドライな現実をまず認識する。そして、営業の主戦場はネットではなくリアルだということ。

さきほどの私が経験した3件のうち、大成功した1件は、社会問題に取り組む一般社団法人でしたが電話、メールなどなど、必死で営業をしていましたよ。逆に大失敗した方の1件は、まったく腰が重くて知り合いに1本もまともに電話してませんでした。

まあ、そもそも顧客ターゲット的にCFが良かったのかどうか微妙なところもあります。社民党の主要“客層”は、リンク先のデータ(勝つ政治家.com、2013年)にもあるように、50代以上。おたかさんが「山が動いた!」と叫んだ社会党黄金時代を記憶している世代なわけですが、従来型支持層はネットは得意ではない。

アイドル議員とのデート権 !? 商品開発が必須


ただ、それも言い訳にできなくて、前述の社団法人もネットが得意でないミドル層、「クラウドファンディングって何?」みたいなオバちゃんたちが多かったんですが、団体の皆さんはネットに疎い人でもわかるような自前のマニュアルを作る努力もしていました。政党職員も議員先生方の秘書も何人もいる社民党さんは、それくらいの営業努力はしないといけないと思うんですよ。

もちろん、購入型のCFのキモは魅力的な商品。家入さんの真似をして福島センセとお食事会というだけでは芸がなくて、そのあたり、弁護士でもある福島センセの法律相談とか、ゲイ公表で知られる豊島区議の石川大我さんによる 「LGBTの方々と円滑に社会生活を送るための出張講演」とか、八王子市議会のアイドル、佐藤あずさセンセと「1日高尾山登山デート♡」とか、もっと自分たちのリソースを活用した商品開発できると思うんですがね。

▲社民党の次世代アイドル、佐藤あずさ氏(ツイッターより)

もう少しネットビジネスリテラシーを上げていただきつつ、選挙と同じくドブ板が大事なんだということをご認識いただき、今度は多額の集金に成功してネトウヨから「北の将軍様から寄付されたんだろう」とか「韓国の親戚から貰ったに違いない」とか、disられながらもテヘペロで左団扇を仰げるようになるといいですね。ご成功お祈りしております。ではでは。


新田 哲史
アゴラ編集長/ソーシャルアナリスト
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