人の陰口や悪口は聞いていて気持ちの良いものではありません。ところが多くのビジネスパーソンは社内の理不尽に堪えかねて、憂さを晴らすかの如く、酒が入れば上司の批判や悪口の大合唱になります。
私が記憶している限り、評価の高いビジネスパーソンは人の悪口や批判をしません。いずれ自分に戻ってくることを知っているからです。私の知人の経営者は、悪口や愚痴を言う人とは絶対に付き合いませんし、そのような人が客で来たら、見送りの後に洗面所で泡立てて手を洗い、秘書にまき塩をさせていました。それは、ばい菌を消毒するかの如く徹底しています。
ネガティブな言葉や思考は、自分の弱さを象徴します。故田中角栄元首相には「私がかつて、人の悪口を言った事があるか!誰か私が一度でも人の悪口を言ったのを聞いたことがあるか!私は一度もない。男を磨くうえで、絶対的な信用をつけるうえで、欠くべからざることが“人の悪口を言わない”ことだ」と言っています。
なかなか普通の人にはできないことかも知れませんが、信頼できる人は悪口や陰口は言わないものです。もし上司の批判や悪口を吹聴していたらそれは想像できないほどの大きなリスクだということになります。特に上司と部下との信頼関係ができていない場合の批判は致命的なものです。
批判をするほうの理由としてはダメな上司の批判をして何が悪いものか!自分たちの意見のほうが正論だと思っているのかも知れません。確かに、ダメ上司は存在しますがやはり組織という中で一緒に仕事をする以上は、相手に敬意を払わなくてはいけません。やることをしたうえでの批判であれば受け入れられる可能性もあるかも知れませんが、多くの場合は、単なるバッシングに過ぎず、「何様のつもりだ」と言いたくなるようなものが少なくありません。
デキル人は、陰口で盛り上がっても全ての悪口や批判を聞き終わってから「でも部長には○○のような良い面もあるよ」「先日、部長と一緒に行動したら○○みたいな感じだったよ」。と矛先をかわすものです。話を併せてしまうと、自分も陰口や批判をしている人と同じになってしまいます。また、「部長の良い部分の○○を知っているよ」と絶対に同調はしないものです。上司の批判リスクが数十倍になることを覚えておいたほうが良いでしょう。
尾藤克之
経営コンサルタント