「消費税」は選挙的に“不吉”な単語なのか? --- 選挙ドットコム

12月24日は何の日かご存知でしょうか?
クリスマス・イヴ? 違います。ポリティカル意識高い層ならお分かりでしょう。
そうです、27年前の今日は、「消費税法案」が成立した日なのです!ドン!

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1988年12月24日に消費税法案が成立し、翌年1989年の4月1日から、3%の消費税がはじまりました。直近では、2014年4月に消費税が8%に上がったことは記憶に新しいでしょう。そして、本来なら今年の10月1日より10%に上がる予定でした。

しかし、安倍首相が消費税増税の時期を先送りすることを決め、あわせて昨年12月に衆議院選挙を行い、10%への増税は「2017年4月1日から」になりました。

そしてまた、来年7月の参院選にあわせて、「衆参ダブル選挙」があるのではないか?
「衆参ダブル選挙」を行う理由は、増税の延期を再度国民に問うため?
などなど、消費税と選挙に関する憶測が飛び交っています。

実は、消費税を上げると、内閣への支持率が下がり、「選挙で大負けする」というジンクスがあるんです。消費税はみなさんの普段の生活にもダイレクトに影響するため、なんとなく政治への不満が募り、その結果、与党への支持が下がり、野党への支持が上がります。そのため、来夏の参院選の際も、「増税される2017年よりも先に選挙しよう」という思惑で、衆参ダブル選挙があるのではないか?と噂されているのです。

そこで実際に、増税の後の選挙では自民党は議席を減らしているのか?を調べてみました。

0%→3% 橋本龍太郎氏が「チクショー」


1989年4月に3%の消費税が始まった後の初めての選挙は、同年7月の参議院選挙でした。自民党は137→109と議席を減らしただけではなく、1人区では25勝1敗から3勝23敗と惨敗しました。
日本社会党の土井たか子党首は「山が動いた」と表現し、一方で惨敗した自民党の幹事長だった橋本龍太郎氏は開票結果を見るなり、テレビ中継が入っていることも気にかけず「チクショー」と憤るほどでした。

3%→5% 橋本龍太郎氏が引責辞任


消費税5%は1997年4月に引き上げられました。その後の1998年7月の参院選では、選挙区制の76議席で60議席程度を獲得するとの予想を大きく裏切り、44議席しか獲得することができませんでした。当時首相だった橋本龍太郎氏は、責任を取り、首相を辞任します。

こう見ると、増税後は自民党は確かに議席を減らしていますが、それ以上に橋本龍太郎氏が、消費税によってかなり振り回されていたことも分かりました。

5%→8% 自民党の計画選挙で圧勝


2014年4月に8%に引き上げられ、その後2014年12月には衆院選挙が行われました。しかし、2012年まで続いた民主党政権への批判や、消費税10%への増税を延期することを表明したことで、批判をうまく交わしています。選挙前の294議席から291議席と、微減してはいるものの、議席は安定しています。

古くは1979年の大平内閣から。「消費税」は不吉な単語


3%、5%、8%と3段階の引き上げの際の選挙結果を見てきました。
3%と5%では惨敗しているものの、8%の増税時は、うまく議席を保っていることが分かりました。
しかし、実際には増税はしていないものの、「消費税」に言及した内閣は支持率を下げているようです。

1979年 大平内閣  「一般消費税」の導入を閣議決定 → 選挙中に撤回するも、惨敗
1987年 中曽根内閣 「売上税」法案を国会に提出   → 世論の反対に合い、撤回
1994年 細川内閣  7%の「国民福祉税」構想発表  → 発表翌日に撤回
2010年 菅内閣   消費税10%を提案        → 参院選で惨敗

と、歴代内閣を見ると、ものの見事に消費税に言及した内閣は軒並み惨敗しています

安倍内閣は賢い→衆参ダブル選挙・・・?


歴代内閣が消費税に言及し惨敗する中、現安倍内閣は議席をうまく保っています。
打ち出すメッセージや時期を、非常に計画的に考えているのでしょう。
そう考えると、消費税の前にもう一度選挙をしておく・・・という考えが出てくるのかもしれませんね。

増沢諒:食べる政治代表
1988年長野市出身。早稲田大学卒業後、ITベンチャーでの勤務を経て、現在、東工大大学院修士課程。研究テーマは「ネットと政治」。ネット選挙解禁を目指す活動「One Voice Campaign」をはじめとし、様々な啓蒙活動を展開。2014年マニフェスト大賞受賞。
Twitter:mojamoja_megane
WEBサイト:http://taberuseiji.com/


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編集部より:この記事は、選挙ドットコム 2015年12月24日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は選挙ドットコムをご覧ください。