北朝鮮の「リアルな脅威」

きのうのアゴラ経済塾(まだ募集中)は、日韓関係がなぜこじれ続けるかを明治時代にさかのぼって考えたが、今はもう一つの要因が加わっている。日韓を分断する北朝鮮の工作だ。朝日新聞の植村記者の義母が挺対協(北朝鮮のエージェント)の会長だったことでもわかるように、彼らは慰安婦問題をあおって日韓を離反させてきた。

韓国には、意外に「親北派」が多い。その一つの原因は、38度線で南北に分断された「離散家族」だ。その数は1000万人ともいわれ、北朝鮮はこれを「人質」として政治的に利用している。しかし「有事」になって38度線が決壊すると、数百万人の難民が南下し、日本も受け入れを迫られるだろう。

これは戦時中の「強制連行」問題と似ている。もちろん文字通り連行された労働者は男女ともいなかったが、だまされて炭鉱などの危険な職場で日本人のやらない仕事をやらされた朝鮮人は多かった。彼らは「同胞」ではなく「鮮人」として蔑視されたのだ。

同じような差別構造は、今も残っている。「技能実習生」としてアジア諸国からやってきて滞在している労働者は100万人にのぼるが、その多くは不法就労であり、技能なんか習得できない単純作業に低賃金で従事し、使い捨てられる。帰国した人々を勧誘しても「二度と日本には行きたくない」という。

そんな中で、自民党は毎年20万人の移民受け入れなどと言っているが、北朝鮮が崩壊したら、20万人どころか200万人以上の難民が一挙に押し寄せるだろう。それは財界の望んでいるような「技能労働者」ではなく、テロリストがまぎれこんでいるおそれもある。

これが北朝鮮の「リアルな脅威」だが、その準備はできているのだろうか。今の差別構造を温存したまま大量の難民が流入したら大混乱になり、かつての朝鮮人差別を再現しかねない。安保法制の問題点は、くだらない憲法論争にひっぱられて、こうした有事体制の全体像が描けていないことだ。