長谷川幸洋氏が「野党は大学院レベルとまでは言わないが、せめて大学高学年レベルくらいの経済学を勉強したらどうか」と説教しているのが笑える。彼は大学でマル経を学んだだけだが、4年前には「日銀法を改正して2年後に2%とインフレ目標を決めろ」と東京新聞の社説で主張していた。
まぁ地方紙なんかどうでもいい。責任が重大なのは、内閣官房参与として安倍首相のアドバイザーである浜田宏一氏だ。彼はロイターのインタビューで「雇用は改善したのでインフレ目標にこだわる必要はない」と言っているが、3年前には「インフレ目標と日銀法改正で日本経済を取り戻す」と主張していた。
デフレ期待がこれだけ定着してしまった現在、個人的には、世界の有力経済学者の言うように、インフレ目標はそれより高く3%でもいいのではないかと思います。[…]現状では、アコード(政策協定)をいくら書いても、日銀が「イヤだ」と言うことを強制できる法的根拠が、残念ながらないように思います。やはり日銀法改正は必要です。
つまり彼は、日銀法を改正して3%のインフレ目標を日銀に強制せよと主張していたのだ。強制するということは、達成できなければ首相は総裁を解任するということだろう。「時期も明確にすべきだ」というから、「2年で2%」と約束した黒田総裁は、日銀法が改正されていたら、とっくにクビだ。
同じような日銀法改正論は高橋洋一氏やみんなの党も主張していた。「デフレ脱却議連」の金子洋一氏はアゴラで日銀法を改正して「インフレターゲット」を設定せよと主張していた。
彼らは今でも日銀にインフレ目標を強制すべきだと考えているのか。それならコアCPIが3年近くたってもゼロの黒田総裁は辞任するのが当然だが、どう考えるのか。さらに2015年3月までに2%のインフレが実現できなかったら辞任すると国会で明言した岩田副総裁の進退はどうするのか。
浜田氏もいうように「学者の責任の取り方は公の場で誤りを認めることだ」。私は彼の誠実な人格は尊敬しているので、「インフレ目標にこだわる必要はない」なら日銀法改正論は撤回し、白川前総裁を罵倒したことを公の場で謝罪していただきたい。