長年、住民自治と情報共有に取り組まれる北海道ニセコ町の片山健也町長と意見交換しました。
⇒ 国際観光地ニセコを支える”思わぬ助け合い”
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68501583.html
その中で、片山健也町長から勧められたのが、こちら。
環境ジャーナリスト村上敦さんのkWh=¥(キロワットアワーイズマネー)。
その中で、印象に残るのが、1960年以降の原油価格の推移。
実は、最近のアメリカの石油価格は、2008年リーマンショック前よりも高騰。1バレル当たり100米ドルを超える価格で推移しています。そして、この価格はこれからも上がっていくことが予想されます。
⇒ 石油依存の経済は、地域の外へ、たくさんのお金が流出します。
そのために、今、長島大陸で地方創生の目玉事業として取り組んでいるのが、「長島大陸の農・漁業パワーを活かす分散型バイオマス温冷熱電併給事業」です。
長島大陸は、農業・漁業が基幹産業ですが、
●豚、牛、鶏の糞
●焼酎のかす
●規格外のジャガイモ・サツマイモ
●養殖の残渣
●生ごみ
●雑草
などお金を払って地域の外で捨てているものがたくさんあります。
これらを活用して、地域の資源(電気、熱、液肥)に変えていくのが、バイオマス(メタン発酵バイオガス)事業です。しっかりやれば、年間数億円以上の資源が地域の中で循環します。維持管理など新しい雇用も生まれ、またCO2の削減にも貢献します。
一方、豚糞を中心とするメタン発酵バイオガスには、さまざまな課題があるのも事実です。
● 収益面
食料品の産業廃棄物を主原料とするバイオガス発電は、廃棄物の引き取り料も含めて収入になりますが、豚糞などは引き取ってもほとんど収入になりません。そのため、産業廃棄物を主原料とするバイオガス発電は、副産物として出る熱や液肥を捨てても事業として成り立ちやすいのですが、豚糞を主原料とするものでは、副産物を捨てるとなかなか成り立ちません。
だからこそ、豚糞を主原料とするメタン発酵バイオガスは、熱や液肥もしっかり活用していくことが必要で、地域の幅広い合意形成が不可欠です。
● 技術面
家畜の糞を原料とするバイオガス発電は、日本では乳牛の糞を原料とするものがほとんどで、豚糞はまだまだ少ないのが実情です。豚糞を主原料とした場合に、どの程度のメタンガスが発生するのか、液肥の成分はどうなるのかなどをしっかり調査研究することも大切です。
先日、日本一の畜産地帯・北海道十勝のバイオガス発電を見学してきました。
その中で、様々な現場の知恵・工夫を拝見してきました。発電に伴う熱を利用して、マンゴーの栽培やチョウザメを養殖しているところもあります。養殖業が盛んな長島大陸でもいろいろと応用できるかもしれません。
「長島大陸の農・漁業パワーを活かす分散型バイオマス温冷熱電併給事業」には、まだまだ課題はありますが、石油依存から脱却する、地域の中で経済を循環させるという大きな目標を見据えて、一歩ずつ取り組んでいきたいです。
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バイオマス「失敗」しないために大切なこととは
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68462178.html
<井上貴至(長島町副町長(地方創生担当)プロフィール>
http://blog.livedoor.jp/sekainotakachan/archives/68458684.html
大陸の素晴らしいものを直送します。「長島大陸市場」オープン
http://nagashimatairiku.com/
編集部より:この記事は、鹿児島県長島町副町長、井上貴至氏のブログ 2016年1月22日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『「長島大陸」地方創生物語~井上貴至の地域づくりは楽しい~』をご覧ください。