私は新卒以来、ずっとサービス業に携わってきました。
お客様の笑顔やありがとうの言葉が、仕事する原動力です。
サービスを提供する側は、お客様に感動して頂く為に、お客様の事を知り、お客様の願いを想像し、サプライズを演出していきます。痒いところに手が届くよう準備します。
つまり、用意周到な準備がサービスの質を高める。
これが基本的な考え方になると思います。
しかし、スポーツという分野は、興行という点では正にサービス業ですが、観客の最大の望みである贔屓チームの勝利は、用意周到な準備をしても、何時も成し遂げられるとは限りません。
それにもかかわらず、スポーツは時にとんでもない感動を呼び起こします。
いわゆる、記録ではなく記憶に残る場面です。忘れられないドラマチックな瞬間を目の当たりにすれば、お客様はすっかり虜になってしまいます。
例えば、テーマパークにあるような、毎回同じことを確実に提供する、期待を裏切らないアトラクションは、サービス側の努力の賜物です。
それとスポーツの試合は、サービスの種類がまったく違います。スポーツは人為的に試合内容を演出することは出来ず、全く同じことの再現は不可能です。
再現出来ない。予測もつかない。
だからこそ脳裏に焼きつくのだと思います。
人智を超えたところにある『勝敗』と向き合いながら、お客様に感動して頂く為には?
スポーツビジネスの永遠の課題です。
恩田 聖敬(おんだ・さとし)
1978年(昭和53年)岐阜県生まれ。京都大学大学院卒業後、2004年複合レジャー施設「JJ CLUB 100」を運営するネクストジャパンに入社。2009年には取締役就任。その後グループ会社であるアドアーズの常務取締役として全国のゲームセンター店舗を回り、希望退職を実施し、大規模な改革を行う。親会社のJトラストでM&A等を担当した後、14年4月に岐阜フットボールクラブの代表取締役社長に就任。サービス業の経験と、会社管理の経験をフルに活かし、サッカービジネスにエンターテイメントの要素を導入も、社長就任と同時にALS(筋委縮性側索硬化症)を発症。病を公表後も社長業を続投したが、15年11月末の公式リーグ最終戦を以って病の進行により、止む無く社長を辞任。
この記事は、岐阜フットボールクラブ前社長、恩田聖敬氏のブログ「片道切符社長のその後の目的地は? 」2016年1月23日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。