キャスター、アナウンサーが選挙にめっぽう強いワケ --- 選挙ドットコム

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次期参院選に向け、杉尾秀哉氏(元TBSキャスター)が民主党公認で長野県選挙区から立候補すると表明しました。また、7月の任期満了に伴う鹿児島県知事選挙には、三反園訓氏(テレビ朝日コメンテーター)が無所属での立候補を表明しています。報道番組には、ニュースキャスター、アナウンサー、コメンテーターなど番組の顔となる人がいます。このような「ニュースの人」が政治家に転身する例はどれくらいあるのでしょうか?

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ニュースの人が政治家に転身!
大臣になっていたり、今有名なキャスターも過去には…

まず報道番組の花形といえば、女子アナでしょうか。元アナで現役議員といえば、丸川珠代氏(環境大臣)が有名です。昨年の大臣就任の際にもその点が注目されていましたね。ニュース番組の司会進行役であるキャスター出身といえば、小池百合子氏(自民党税制調査会副会長)、蓮舫氏(民主党代表代行)などは、今ではすっかり政治家として定着しています。

また地方の首長でも、高島宗一郎福岡市長(元九州朝日放送アナウンサー)や、岡本栄 三重県伊賀市長(元関西テレビアナウンサー)の例もあります。

珍しい例では、現在、日本テレビ『NEWS ZERO』の村尾信尚キャスターは、元財務官僚として2003年に三重県知事選に出馬し、落選後「ニュースの人」になった方です。ひょっとして次の展開があるかも……。

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ニュースの人が選挙に強いワケ

さて、「ニュースの人」が政界に転身する動機は様々ですが、選挙戦となれば候補者の印象として3つの強みがあります。

□知名度がある
何よりもテレビを通じて名前と顔がお茶の間に浸透していることが最大のアドバンテージです。これはスポーツ選手や芸能人などのタレント候補者全般に共通しています。「この人知っている」という知名度にあやかり、国政選挙では政党が推薦を出すこともよく見られます。

□政治に詳しい
ニュースキャスターの場合は、ニュース解説やコメントも求められるため、政治という専門性がすでに備わっているイメージがあります。これは他のタレント候補に比べて有利な点です。元柔道家よりも元キャスターの方が、政治の世界に対してずっと親和性がありそうなイメージでしょ。

□タレント性
ニュース番組ではバラエティやスポーツなど様々な情報を紹介するため、キャスターの性格や嗜好性が垣間見えたりします。加えて番組進行を切り盛りする調整力や、適切なコメントを挟むなどの対応力は、視聴者に安心感と好印象を与えます。「この人なら任せて安心」と思われているなら、候補者としては最強ですね。

ニュースの人はテレビの人でこそ強い

候補者としてはまるで無敵のような「ニュースの人」ですが、政治の世界は一寸先は闇です。常勝なんてありません。

2013年の参院選東京選挙区では、先の丸川氏や元俳優の山本太郎氏らが当選する陰で、『アメリカ横断ウルトラクイズ』などで司会を務めた小倉淳氏(元日本テレビアナウンサー)が落選しました。同じく宮城県選挙区では、みんなの党(当時)の和田政宗氏(元NHKアナウンサー)が当選し、民主党結党メンバーだった岡崎トミ子氏(元東北放送アナウンサー)が落選しました。

2011年の大阪市長選では、民間初の市長として2期目を目指した平松邦夫氏(元毎日放送アナウンサー)は、民主党から推薦を受け自民党や共産党からも支持を得ていましたが、大阪都構想を掲げ大阪府知事から鞍替え選挙となった橋下徹氏に大敗しました。

「ニュースの人」が当選すると、テレビへの露出が極端に減る中で、今度は政治家としての知名度を上げていかなければなりません。橋下氏のように、政治家になった後も話題性を維持し「テレビの人」であり続けることができれば、党勢にも左右されず当選を勝ち取れるのかもしれません。2016年参院選での「ニュースの人」の闘いぶりに注目しましょう。

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幸本あかり
ふとしたことから選挙の現場に携わり、以来10年ほど様々な選挙事務所を渡り歩く、選挙事務所番ときどきライター。事務所が荒れても事務机は整頓すべしが信条。


編集部より:この記事は、選挙ドットコム 2016年2月5日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は選挙ドットコムをご覧ください。