宮崎議員は嫌いになっても、男性育休は嫌いにならないで --- 駒崎 弘樹

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こんばんは、厚労省イクメンプロジェクト座長の駒崎です。
さて、昨日、最近飛ばし気味のセンテンススプリング砲が発射され、育休取得を発表した宮崎議員を直撃しました。

育休国会議員の”ゲス不倫”お相手は女性タレント
http://shukan.bunshun.jp/articles/-/5859

もし事実であるならば、彼の育休宣言を応援していた立場からすると、とても残念な思いになります。

特に、命がけで出産した後にこうした話を聞かなくてはならない、妻の金子議員の心中は如何ばかりかと思います。

やはり、こうした事件に対し、宮崎議員を含め、議員育休そのものに対しても批判が集中しています。
(宮崎議員、事務所フェイスブックが炎上 「ゲスすぎる」 – Yahoo!ニュース http://bit.ly/1nX52xn

こうした「せっかく応援していたのに、裏切られた」という気持ちは、よく分かります。残念な気持ちになったのは、僕も一緒です。

しかし、彼個人と、彼が提起した問題とは、慎重に切り分けたいと思います。

それは、トマス・ジェファーソンが黒人奴隷を愛人にしていたことと、彼が起草したアメリカ合衆国憲法の中にある「すべての人間は平等である」という主張を切り分けるように。

あるいは、マーティン・ルーサー・キング牧師が不倫をし、それをFBI長官に盗聴・録音され、運動をやめるよう脅されるはめになったことと、彼が語った「私には夢がある。それは、いつの日か、私の4人の幼い子どもたちが、肌の色によってではなく、人格そのものによって評価される国に住むという夢である」というビジョンを切り分けるように。

(報道が事実ならば)宮崎議員は間違いを犯しました。しかし彼が主張した、「男性国会議員も、育休を取ってもいい」という考えは、今でも正しいと思います。

これまで女性は、子育てをすべて一人で行うことを期待されていました。「ワンオペ育児」です。
しかし、女性の社会進出が進み、女性就業率が上がってくると、高度経済成長時において当然とされていた「ワンオペ育児」が破綻し、それは出生率の低下によって跳ね返ってきました。

女性も男性同様働き、輝く社会を目指すのならば、男性が女性同様に子育てにも家事にも責任を持ち、向き合う社会を同時に目指さなくてはなりません。

男性の育休は、男性が働き方を変え、家事と育児にスタートラインから関わっていける、うってつけのツールです。

ホルモンが乱れて鬱状態に陥りがちな妻を助けられるばかりでなく、出産直後の育児の大変さを体感することで、脳内のOSを入れ替えられます。子どもの誕生の瞬間から、夫婦が「チームである」という意識を持つことができ、「共育て」がデフォルトとして設定されていくのです。

女性の輝く社会を真に目指すのであれば、男性の働き方変革の形の一つである男性の育休を、広げていかなくてはなりません。せっかく盛り上がりかけた男性育休ムーブメントを、このまま死に絶えさせてはならないのです。

不倫問題と、男性育休を乱暴にごっちゃにするのではなく、丁寧に切り分けて議論していけたら。

そして全国のイクメンの皆さん、イクメン志望の皆さん。こんなことでガッカリしてはいけません。
私たちの子どもたちの世代が「共に育てる」社会を当たり前だと思うために、私たち自らが淡々と背中を見せていきましょう。

世間にどのような逆風が吹き荒れていようと、子どもたちの手をつなぎ、笑って保育園に送りに行こうじゃないですか。

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編集部より:この記事は、認定NPO法人フローレンス代表理事、駒崎弘樹氏のブログ 2016年2月10日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は駒崎弘樹BLOGをご覧ください。