日銀のマイナス金利をきっかけに株価が暴落していますが、黒田総裁は国会で「これは中国の不況のせいだ」と言い訳しました。中国はいま旧正月で休みなので、2月になって株価が2週間で15%も下がったのはおかしいですね。
中国のGDPと電力消費量(公式発表)
でも中国の景気が悪いことは事実です。上のグラフは中国のGDP(国内総生産)と電力消費量を比べたものですが、中国の統計は信用できません。2015年の成長率は、公式には6.9%ということになっていますが、電力消費量の伸びはマイナスです。本当に成長していた2009年ごろには40%も増えていたので、GDPも本当はマイナス成長なのではないでしょうか。
ひところ「21世紀は中国を初めとする新興国の時代だ」といわれ、ゴールドマン・サックスはBRICsという言葉をはやらせました。これはブラジル、ロシア、インド、中国の頭文字をとったもので、こうした新興国に投資するファンドが売れました。しかしBRICsは本当に成長してるんでしょうか?
BRICsの成長率(各国の公式発表)
上のグラフは各国の公式発表した成長率ですが、中国の成長率は前に書いたように本当はマイナスだとすると、インド以外はみんなマイナス成長です。特にロシアは原油の暴落でマイナス4%ですが、実際はもっと悪いといわれています。ブラジルも原油安の影響でマイナス成長になり、海外からの借金が多いため、財政危機になっています。
こうして新興国の経済が危なくなったため、そういう国の需要に頼っていた先進国の経済も危なくなり、お金も新興国から逃げ出しています。新興国バブルの崩壊ともいうべき状況ですが、インドだけは資源に頼らずIT(情報技術)で伸びてきたので、まだ成長を続けています。
円高になった一つの原因も、こうした新興国に投資していたお金が安全な日本に逃げてきたことと考えられます。なんだかんだいっても、日本は「まともな国」とみられてるんですね。こういう信用は大事にしたいものです。