デンマークに学ぶ「マイナス金利時代の資産運用術」 --- 内藤 忍

image405-e1455576004642日銀が先月末に導入を決めたマイナス金利政策が、いよいよ本日から実際に始まります。いきなり預金金利がマイナスになる訳ではありませんが、資産運用には今までの常識を変えていく柔軟性が求められると思います。

これから何が起こるのかのヒントになるのが、3年半前にマイナス金利を導入したデンマークです。日本経済新聞に現地のレポートが掲載されていました。

首都コペンハーゲンの中心部では至るところで高級マンションの建設が進んでいるそうですが、高級住宅が立ち並ぶウスタブロ地区では日本円で4億円(2500万デンマーククローネ)以上の物件が売りに出され話題になっているそうです。

話題の理由は、このマンションの売り手がセレブであることだけではなく、価格が急騰しているからです。購入した2011年当時の価格は約1億円(600万デンマーククローネ)で国内最高価格と言われていました。その価格がわずか5年足らずで、4倍以上に上昇したことになります。

日本の日銀に当たるデンマーク国立銀行がマイナス金利を導入したのは2012年7月です。それから4年間に起こったことは、住宅ローン金利の急低下と、それに伴う住宅ブームです。高級住宅地の価格は特に上昇しており、価格はリーマンショックの前の水準を超える過去最高になっています。

デンマークでは変動型の住宅ローン金利をマイナス0.3%にしたノルディア・クレジットという金融機関も存在します。しかし、対象となるのは顧客全体の3%以下で、実際には手数料などの支払を相殺すると、「ローンを借りて金利がもらえる」という状態にはならないそうです。

日本でも、4年前のデンマークと同じようなことが起こり始めました。三井住友銀行は本日から10年固定型の住宅ローン(最優遇金利)を0.15%引き下げて年0.9%に、5年物の金利は0.85%と過去最低金利にするそうです。また、ソニー銀行も3月から適用する変動金利を0.02%下げる予定で、金利は0.519%となります。運用難で他行も追随するのは確実で、ローン金利競争が始まる予感がします。

ローン金利の低下の結果デンマークで何が起こったか?それがこれからの資産運用のヒントになります。昨日のブログに書いたような、金融資産を使った10年でやる長期分散投資も1つの方法ですが、より積極的にリスクを取る人にはローンを使った実物資産投資という選択肢も検討の余地ありだと思います。

※毎週金曜日に配信している「資産デザイン研究所メール」。資産を守り増やすためのヒントから、具体的な投資のアイディア、そしてグルメな情報まで、無料でお届けします。

※内藤忍、株式会社資産デザイン研究所をはじめとする関連会社は、資産配分などの投資アドバイスは行いますが、金融商品の勧誘・推奨などの投資助言行為は一切行っておりません。


編集部より:このブログは「内藤忍の公式ブログ」2016年2月16日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方は内藤忍の公式ブログをご覧ください。