プログラミングを10日間学んだだけで世界が変わった

最近、子供のうちからプログラミングを教えるべきだとか、プログラミング教育の必要性が盛んに訴えられています。あるいは、プログラミングを知ら無い人は、この先、仕事がなくなるんじゃないかとか、そんな話題が聞こえてきたりしがちです。

一方、私の働く放送業界では、ほどんどの人がプログラミングの「プ」の字も知ら無い人がほとんどの様なイメージがあります。むしろ、ライブドア騒動のイメージのせいか、ITというのは悪い事というイメージを持っている偉い方々がいるのではないかと思う時すらあります。

そのためかどうか分かりませんが、放送業界は仕事のITを使って効率化しようという意識がとても低いと思います。例えば、今でも放送局やテレビ制作会社のスタッフは廊下を走り回り、社内は書類でグチャグチャだったりという雰囲気です。

さらに、拘束時間が長くて家に帰れ無いようなADさんの仕事を見ていても、実は「テープをダビングしているのを待っている」といような、将来的には確実に効率化されていそうな仕事で拘束時間が長かったりするわけです。

私は主に情報番組の放送作家をやっています。なので、プログラミングに関しては全く知ら無い素人です。ですが、放送業界も、いずれはIT化されて効率化されるに違いないとは予想していました。そんな事を漠然と思いながら、堀江貴文さんのメルマガなど読んでいたら、その編集を行っているSさんという方の事についての記事に興味を惹かれました。

実は、プログラミングの基礎は意外に簡単で、Sさんはプログラミングを使ってメルマガの編集の仕事を効率化しているとありました。そんな事に影響を受けて、私もプログラミングの基礎を学ぶ事を先月決意しました。

そこで、私は今月から渋谷にある1ヶ月でプログラミングの基礎を叩き込むという、テックキャンプというプログラミング講座に参加してみる事にしました。すると、現在10日目なのですが、すでに自分の見えている世界が変わっているように感じはじめました。(ブログでも、ほぼ毎日学んだ事などを書いています。)

たった10日、Ruby、CSS、MySQL、など、ホームページやデータベースの仕組みを学んだだけですが、Twitterの様なウェブサイトや、価格ドットコムのようなレビューサイトがどのような仕組みになっているかの基本は理解できました。

そして重要な変化として、私が普段やっている放送作家の仕事も、本当に単純なプログラムを用意するだけで、相当効率化が出来るという事が見えてきました。現段階で、ITを使って番組の作業の効率化をするための予算を出そうというプロデューサーがいるか分かりませんが、長いスパンで見れば、確実にそうなっていくだろうと感じました。

私が10日間で気づいた事を、ちょっと簡単に比喩を交えてお伝えしてみます。私はプログラミングやる前、必要以上に壮大なイメージを、プログラミングに対して持っていました。私のプログラミングに対して持っていたイメージを、豚骨ラーメンに例えてみます。

10日前の私は、ラーメンを作るためには、豚の飼育法、小麦も育て方、調理器具の作り方、醤油の製造方法など、ありとあらゆる事を理解し、それを実践なければ何も出来ないと思っていたんです。でも、今の私は、世の中には仕入先があって、そこに豚肉、小麦粉、醤油なんかが売っている事に気付き、そこで材料を買ってきて「調理法」を学べばなんとかなると思っている感じです。

また、全く豚骨ラーメンの調理法を知ら無い人が、豚骨ラーメン店で働きはじめたら、周りは迷惑ですよね。例えば、ラーメン屋さんなのに新人のアルバイトが、「店長、このデカイ鍋でお湯を沸かして、一体、何をするんですか?」と聞いていたら、店長は一発でクビにしたくなりますよね。でも、豚骨ラーメンの作り方を知っている人は、麺があって、それを茹でて・・・と、何も言われなくても大まかな仕事のプロセスは想像できるわけです。

今後、どの業界でも、ITによる効率化というのは不可欠になっていくとおもいます。そういう時代に、プログラミングの概念を全く理解せずに仕事をしていくと、例にあげた豚骨ラーメン屋の新人アルバイトの様な、感じのトンチンカンな人物になってしまうのではないかと思いました。たった10日間プログラミングに触れただけの人の感想なので正解かは分かりませんが、だからプログラミングのできる人は、できない人に危機感を抱く様にと訴えているのだろうと察しました。

これから先、私がテレビ業界でITをどの程度活かせるか分かりませんが、たった10日間でもプログラミングを学んで本当に将来にプラスになった様な気がしました。なので、読者の方にも、どんな仕事についていても、ちょっと時間をさいて、プログラミングをやってみる事をお勧めしたいです。

渡辺龍太:放送作家・ブロガー
NHKのニュース、金融番組、ワードショーなど、主に情報番組の構成をやっている。著書は「朝日新聞もう一つの読み方」など

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