【映画評】SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁

渡 まち子

Sherlock The Abominable Bride シャーロック 忌まわしき花嫁1895年、ロンドン。トーマス・リコレッティは数時間前に自殺したはずの妻を発見する。リコレッティ夫人の幽霊は、癒えない心の傷と復讐心のため、ロンドンの街をさまよい続けているのだ。名探偵シャーロック・ホームズと彼の相棒ジョン・ワトソン、そして仲間たちは、彼女の出現の謎に迫り“忌まわしき花嫁”の驚くべき真実に迫っていく。…。

テレビドラマ「SHERLOCK(シャーロック)」シリーズの特別編として作られたのが映画「SHERLOCK/シャーロック 忌まわしき花嫁」。今や大スターとなったベネディクト・カンバーバッチがブレイクしたきっかけが、英BBCのTVドラマの「シャーロック」だ。アーサー・コナン・ドイルの小説の舞台を現代を置き換え、最新テクノロジーを駆使して難事件を解決する名探偵シャーロック・ホームズと相棒ワトソンの活躍を描いて大ヒットしたドラマだが、この特別版の映画は、ヴィクトリア朝の1895年へと戻り、冥界からやってきた敵を相手に事件解決に挑むのだから、なんだか最初から時代設定がややこしい。

ミステリーなので詳細は明かさないが、この作品が完全にTVドラマファン向けのものだとしても、ストーリーは実にわかりにくい。何しろ物語の半分以上が、シャーロックの頭の中での出来事で、どこから現実なのかがはっきりしないのだ。さらに、現実社会との兼ね合いから、あまりにビミョーな薬物ネタに、とまどってしまう。科学が台頭してきた時代に起こる、科学では解明できないミステリアスな事件は、謎解きというより怪談話のようで、すっきりしない後味となった。ただ、やっぱりホームズにはクラシカルな世界がよく似合う。19世紀末のイギリスの、衣装や家具調度品、石畳の街並みなどが緻密に再現され、謎解きの世界観を作り上げていた。
【50点】
(原題「SHERLOCK:THE ABOMINABLE BRIDE」)
(イギリス/ダグラス・マッキノン監督/ベネディクト・カンバーバッチ、マーティン・フリーマン、アマンダ・アビントン、他)
(TVドラマファン向け度:★★★★★)


この記事は、映画ライター渡まち子氏のブログ「映画通信シネマッシモ☆映画ライター渡まち子の映画評」2016年2月23日の記事を転載させていただきました(画像は公式ポスターより、アゴラ編集部)。オリジナル原稿をお読みになりたい方はこちらをご覧ください。