どうも新田です。民主くんの再就職先があるのか心配です。あさってで、二・二六事件から80周年になりますが、昨年の暮れから、民主党内で保守系の先生方がフランケンに対してクーデターを起こし、現実路線を追求した新党結成をしてくれるのかと淡い淡いピンクにもならない白い期待を持っておりました。ええ、ご案内の通り、結局、そんな私の願望なぞロッテのアイスクリームより甘うございましたよ。
民主・維新3月合流へ、党名を変更で大筋合意
新党結成に向けた協議を続けている民主、維新両党は3月に合流し、党名を変更することで大筋合意した。合流後、夏の参院選までは民主党の岡田代表が党首を務める見通しだ。民主党内には党首選を求める声もある。両党は24日以降それぞれ会合を開き、党内了承を取り付ける。(読売オンライン2016年02月23日)
保守派の不満もくすぶる新党
つい半月ほど前にも、保守系の先生と個人的にやり取りしていたのですが、
「安倍嫌い、反安保ありきで共産党と組むことも辞さない連中と、本気で政権奪還を志すメンバーで思い切り分党すべき」
「維新の党と合併しただけじゃ、新鮮味がまったくない濁ったミックスジュース。国民が飲んでくれるわけがない」
とお怒り気味。青年将校ばりの勇ましいお話を聞いて、ひょっとしたら、2月26日にでも決起してくれるんじゃないかと密かに期待していたんですが、時すでに遅し。クーデターの煙すら立ちませんでした。政党助成金交付をあてにできる年末を通り越したこの時期になっては、やはり無理ゲーです。
まあ、このまま合併しても、反安保、反安倍ありきで、「じゃ、どうする」が見えてこない状況にあっては、マーケティングの棟梁、大西先生のおっしゃる通りが全てです。
民主党に決定的に欠けるのは「希望」や「明日」をつくるリーダーシップ — 大西宏
https://agora-web.jp/archives/1670857.html
もちろん、保守系の先生方も不本意に決まっているんですよ。みなさん3年3ヶ月、曲がりなりにも大臣や副大臣、政務官などなど実際に政権を担う重み、動かす難しさを認識され、東日本大震災、尖閣問題などの試練も経験して下野。でもなお、自民党・公明党だけが政権担当能力がある政界構造では不健全という理想を持ち続けておられるだけに、今回の合併の現実がそれに程遠いことは痛感されてます。去年の秋も細野さんが野党再編への意気込みを語りまくってましたしね。
今の野党再編にポンと出す篤志家はいない
結局離党はおろか、新党構想が「言うだけ」に何故なるかと言えば、軍資金のアテがない。やっぱり、政権を狙える政治勢力を作るには半端ないお金がかかります。振り返れば民主党だって、日本政治史上最強の大富豪・鳩山家の財産ありきの創業でした。
で、細野さんたちが民主党を裸一貫で飛び出し、ゼロからの新党を立ち上げたとしましょうか。まあ、いきなり民主党クラスじゃなくても、たとえば、数年前のみんなの党のように衆院でキャスティングボート狙いの20人規模勢力を狙うとして、参院選で全国比例を立てるには最低10人の立候補者が必要。供託金だけで6,000万円かかる。みんなの党の創業者がスポンサー会長さんから“熊手”を8億円で買ったことが話題になりましたが、ダブル選ならそんなもんじゃ済まない。
ポンと出してくれる篤志家など、今のご時世で数えるほどしかいないのでしょうが、一時は雑誌やネットで野党議員の「三木谷詣で」が取りざたされたものの、ミッキーは今や産業競争力会議のメンバー。まあ、へっぽこな野党なんぞに肩入れしてたらビジネスチャンスは無くなってしまうわけで、とっとと政権与党に規制緩和してもらう方が合理的。政権サイドにとってもニューエコノミー界隈の取り込み&野党のスポンサー封じにもなる。
「稼ぐ力」が政界最弱の民主党
そうこうしているうちに下野して3年余の間、民主党は巨大与党時代にたんまり貰った助成金を繰り越して蓄財し、一時は200億にまで膨らんだ基金を少しずつ取り崩してきているわけですが、こちらの表にあるように民主党は、交付金への依存度が際立って高く、いうなれば政界でお金を「稼ぐ」能力が一番欠如しているとも言えます。
(出典:時事通信 2015年11月27日)
自民党クラスの献金集めの営業力がなく、公明や共産のような自前の事業力もない。民主党にも民間企業でそれなりに働いた経験のある議員さんがいてもっと稼ぐ力あるはずなんですがね。共産主義の共産党が助成金を受け取らず、赤旗などの事業費でしっかりと日銭を稼いで、資本主義社会でどう生きていくかを実践していることは実に皮肉です。
ちなみに、この際、申し上げておくと、政党助成金は余ったら原則返還なんですが、「基金」は返還逃れの裏技。まあ、多少の額なら大目に見るにしても、2012年なんか民主党の繰越し額は突出していて、いい加減にしろよ、とネトウヨならずとも怒りを覚えます。
民主党(収入379億円、支出160億円、翌年への繰越 218億円)
共産党(収入245億円、支出235億円、翌年への繰越10億円)
公明党(収入191億円、支出136億円、翌年への繰越55億円)
自民党(収入182億円、支出168億円、翌年への繰越13億円)
出典;Business Journal「民主党、税金で巨額蓄財か」
http://biz-journal.jp/2014/11/post_7441.html
この当時はその後の選挙戦で先細りが見えていて、結局、「稼ぐ力」が無いことを自覚しているからか蓄財に走ったのかな、とも想像させられるんですがね。え?「次の表だと、自民党も結構貯めてるじゃないか」って?声が大きいよ、そこ。
(出典;赤旗 2015年9月26日)
民主党のカネに話を戻すと、党勢衰退が続いて、やっぱり基金も減ったな。これ14年の数字だから、今秋発表されるだろう15年はもっと減ったのでしょうけど。
とりあえず、こういう現実がもろもろあって、スポンサーも選挙戦の展望もない中、細野さんたちがうっかり年末に党を割って助成金がいくばくか入ってきたところで、早晩行き詰まった可能性は高かったのでしょうか。選挙に勝つ見込みがあればリスク取る意義もあるでしょうけど。結局、「進む地獄」より「退く地獄」の方が少なくても資金面でのリスクは確実に避けられるという算段しか立てられなかったようにも見えず、お金という視点からも野党が詰んでしまっているように見えます。
そういうわけで、最後に新党誕生を祝し、昔懐かしい堀江さんの本のリンク先を関係者の皆様にご進呈申し上げたいと思います。ではでは。
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新田 哲史
アゴラ編集長/ソーシャルアナリスト
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