トランプ氏、スーパーチューズデー前に追い風! --- 安田 佐和子

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ドナルド・トランプ候補、筆者の予想に反し益々支持を広げています。

マルコ・ルビオ候補とテッド・クルーズ候補は、25日開催の討論会で見事なトランプ叩きを繰り広げました。ルビオ候補がトランプ候補の自身の連勝を自慢する発言や言動を槍玉に挙げ、「また同じこと言ってるよ(Now he’s repeating himself)」と口撃した場面は、動画としてメディアやソーシャルメディアで何度もフィーチャーされるほど。しかし、こうした巻き返し作戦は「力不足で手遅れか?」と報じられる始末。さらに討論会後にアノ人が支持表明し、トランプ旋風にブレーキが掛かるかは不透明になってきました。

今回トランプ候補支持表明したのは、ニュージャージー州のクリス・クリスティ知事です。ニューハンプシャー州予備選まで共和党正式指名を争った人物なだけに、影響は侮れません。ロイターは、ヘッドラインに”クリスティ知事を勝ち得て、スーパーチューズデーに前進”と掲げ、3月1日の追い風になると伝えます。CNNも”短期的に、ルビオ候補が討論会で見せた勝利への道を阻む”、”長期的にトランプ候補はパワフルで饒舌な支持者を得た”とし、プラス要因だと報道。しかしクリスティ知事、会見でルビオ候補を「絶望的」と批判するなんて、ニューハンプシャー州前に総攻撃を掛けたように余程恨みでもあるのでしょうか。

ハリケーン「サンディ」直撃後は、オバマ米大統領とのブロマンスが話題に。
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(出所:CNN)

ブッシュ候補撤退後の世論調査でも、トランプ候補の優位は揺るがず。クリスティ知事は勢いの止まらない同候補をにらみ、副大統領候補としてホワイトハウス入りする近道と捉えたのでしょう。キニピアック大学が26日に発表した調査では、フロリダ州でのトランプ候補の支持率は44%と同州選出の米上院議員であるルビオ候補の28%を大きく突き放します。お伝えしたように、フロリダ州の代議員数99人は勝者総取り方式なのでトランプ候補が制すればブローカード・コンベンションどころではありません。

共和党主流派に衝撃を与えたクリスティ知事の大胆な賭けは、奏功するのでしょうか?少なくとも、ツイッターでは炎上状態。「いじめっ子の大統領候補にいじめっ子の州知事がタッグを組んだ」と非難が飛び、NY地元紙デイリー・ニュースは明日の一面と題し”MAN WITH A KLAN”と文字と共に、クー・クラックス・クランを背景に高笑いするクリスティ知事を掲げる始末。ローリング・ストーン誌も「(大ファンである)ブルース・スプリングスティーンが歌う、トランプを支持しないよう叫ぶ8曲に注意」と痛烈です。

トランプ候補には政治家としてサラ・ペイリン前アラスカ州知事が支持を表明済みで、クリスティ知事の決断を受け「そろそろ共和党主流派はトランプを真剣に正式候補として考慮すべきだ」と言い始めたニュート・ギングリッジ元下院議長も傾きつつあるようです。他に著名人で、どのような面々がそろっているのか気になりますよね?こちらに並んだ主な名前は、以下の通りです。

デニス・ロドマン(元バスケ選手)
マイク・タイソン(元ボクサー)
ティラ・テキーラ(リアリティショー・スター)
アジーリア・バンクス(ラッパー)
テレル・オーウェン(元フットボール選手/リアリティショー・スター)

キッド・ロック(ロック歌手)
ハルク・ホーガン(プロレスラー)
スティーブン・ボールドウィン(俳優)
ジェシー・ベンチュラ(元プロレスラー)
ジェシー・ジェームズ(リアリティショー・スター)
アン・カトラー(保守派の論客)

トランプ支持層は低所得者層の白人というイメージですが、キッド・ロック以下6名以外は白人以外なんですね。リアリティショー・スターの面々が目立ち、スティーブン・ボールドウィンもトランプ候補のショー「見習い(The Apprentice)」の有名人版に参戦していました。こうした面々は基本的に、トランプ候補こそ他の候補と違って新たなアメリカを創造できるという趣旨で支持しています。

逆にトランプ候補が米大統領に着任した場合、「国外逃亡する」意志を表明 or 示唆した主な著名人はこちら。参照元のサイトは、ロシアのプーチン大統領やトランプ候補自身が入っていますので一部にジョークと誇張が見られます点をご注意下さい。

アル・シャープトン(公民権活動家)
サミュエル・L・ジャクソン(俳優)
エディ・グリフィン(俳優)
カニエ・ウェスト(ラッパー)

ロージー・オドネル(女優、2015年8月の討論会にて嫌いな女性を太った豚など卑しい動物と野次った事実を司会者に尋ねられた際、トランプ候補は「ロージー・オドネルだけさ」と回答)
シェール(歌手、アカデミー受賞女優)
ジェニファー・ローレンス(アカデミー受賞女優)
ジョン・スチュワート(司会者)
アレック・ボールドウィン(俳優)

ワシントン通のこの方をして、「ジョーカーもエースも、トランプはトランプ」と言わしめただけあります。

(カバー写真:Tony Webster/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年2月27日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。