円城寺雄介さんの『県庁そろそろクビですか?』
これ、めちゃくちゃ面白い本ですよ♪
円城寺さんといえば、全国初の救急車でのiPad活用やドクターヘリ導入で中心的な役割を果たした佐賀県庁職員。その活躍が、TBSの『夢の扉+』やTedx Fukuokaでも取り上げられました。
この本には、その経験や思いが、リアルに描かれています。
「なんば考えとっとね、君は!バカじゃなかね!」
という衝撃的な書き出しは、円城寺さんが医務課に異動になって数日後の話。
いわゆる救急患者のたらい回し問題について、何が実際の課題なのかを知るため、救急車に同乗させてほしいと消防局に申し出た時の反応です。
「遊びじゃなかとよ!わかっとる?救急の現場は戦場と同じよ!我われ救急隊員は赤信号だって突っ込んでいくし、患者はどがん病気を持ってるかわからんから、我われだって感染のリスクもあるとよ。」
救急隊の幹部から厳しい口調で言われます。
それでも、
●「現場主義」がなければ仕事はできないという信念
●「解決案」の提示
●最初は否定されても、「諦めず練り直して」何度も何度も提案する姿勢
から、縦割りを超え、ついに救急車でのiPad活用やドクターヘリ導入を実現していきます。
「「お役所仕事」だって、熱狂してもいいんです。」という表紙の言葉が胸に響く一冊です。
本の中で、円城寺さんが書かれた言葉に強く共感します。
「民間企業のように給与に数倍、数十倍差が出たり、何かしでかしてクビになるリスクがあるなら、私も本書で取りあげていくような「挑戦」はできなかったかもしれない。」
「たとえ周りが何と思おうが、どんな評価をされようが、いい仕事をするために挑戦していけるのが、公務員の最大の魅力なのだと私は思う。仕事を成し遂げることで、後々の人たちのためになり、世の中で救われる人、笑顔になる人が増える。そういった公のためになることを、困難に立ち向かって突破することができるのが公務員なのだ。」
「「はみだし公務員」の挑戦」というタイトルでありますが、円城寺さんが大切にされているのが、日々の仕事の積み重ねやバランス感。決して、はみだすことが目的ではありません。
「さまざまな変革に伴う施策も、実際には表に出ない地味な業務を山ほど積み重ねて実現できたものばかりである。」
「公務員の仕事とは、どんなに地味で目立たなくても、意味のない業務など本来は一つもない。その業務をきちんと行うことで、どんな人にどう役に立つのか。その想像力こそ、公務員に求められるものだろう。」
「これまでやってきた前例や既存の制度を頭から否定してはいけない。たしかに時代に合わなかったりおかしいところもあるかもしれない。しかし、それもこれまで先人たちが汗と涙でつくり上げてきた積み上げなのだ。それは経験や教訓の塊であり、過去すべての人たちがより良い社会を生きたいと血のにじむような努力をしてきた願いや祈りなのだから、まずはしっかりと前例や既存制度を学ぶこと。」
という言葉がすごくしっくりきます。
日々の仕事を大切にして、現場を見て自分の頭で考え抜いて、強い情熱をもって行動するからこそ様々なことに「挑戦」できるのだと思います。僕のブログで伝えたいことと重なるところが多く、この本はたくさんの人に読んでほしいです。
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編集部より:この記事は、鹿児島県長島町副町長、井上貴至氏のブログ 2016年3月2日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は井上氏のブログ『「長島大陸」地方創生物語~井上貴至の地域づくりは楽しい~』をご覧ください。