若者の動きが若者担当相・被選挙権を公明の重点政策に

公明党が重点政策に「若者政策担当大臣」等

公明党が夏の参院選公約の重点政策案を発表し、「若者政策担当大臣」や「部局」の新設、審議会への若者の登用、被選挙権年齢引き下げを検討することなどを明記した。これは2月27日に東京都内で行われた全国県代表協議会で明らかになったものだ。
具体的には、
〈1〉活気ある温かな地域
〈2〉健康・活動寿命の延伸
〈3〉女性や若者、すべての人が希望を持てる社会
〈4〉子どもを大切にする社会
〈5〉災害から暮らしを守り抜く
の5分野からなり、掲げられた35項目の重点政策の中に、「若者政策担当大臣」と「若者政策担当部局」の設置、「審議会への若者の登用」、「被選挙権年齢引き下げ」などの若者参画政策が含まれた形だ。

政党を動かした「日本若者協議会」という仕掛け

公明党が、こうした若者参画政策を掲げた背景には、昨年設立した「日本若者協議会」による若者たちの取り組みがある。
公の政党の公約を若者が動かしたというような例は、過去にほとんどなく、その意味でも、今回の政策反映は、若者自身が勝ち取った「成果」として大きな価値がある。
18歳選挙権の実現により、投票者としての若者ばかりに注目が集まるが、重要なのは、「紙に名前を書いて銀の箱に入れること」ではなく、新たに得た権利を使い、「自分たちの生活やこの国の未来をより良くしていくために、求める政策を実現していくこと」である。
その意味でも、今回、大きな成果を上げた、当の若者たちをまず評価してあげて欲しい。

【日本若者協議会】
URL: http://youthconference.jp/
Facebook: https://www.facebook.com/YouthParliamentJapan/

「日本若者協議会」は、スウェーデンのLSU(全国青年協議会)、英国のUKYP(英国若者議会)、ドイツのDBJR(連邦若者協議会)などをモデルに設立された、若者の声を政府や政党などの政策に反映させようというプラットフォームである。
2015年3月の維新の党を皮切りに、7月に公明党、12月に自民党、1月には民主党と、「日本版ユース・パーラメント」を開催してきた。賛同団体の延会員数は4,000人を超えたという。
若者参画先進国には、様々な若者参画の仕組みがあるが、今回は下の表(筆者作成)でのご紹介にとどめ、詳細はまた別の機会に譲ろうと思う。

日本若者協議会では、こうした海外事例をモデルにしながら、各主要政党を対象として、若者からの政策提案やその実現に向けての協議を続けてきた。
公明党とは、7月6日に「日本版ユース・パーラメント」を実施したのち、11月5日に「公明党への政策提言に向けた若者ミーティング」、11月26日に「若者政策の提言に向けた意見交換会~公明党編~」を経て、12月17日には「公開政策協議~公明党編~」を行い、若者側からの最終提言を行った。
当日、公明党側からは山口那津男代表も参加し、樋口尚也 青年委員会青年局長、真山祐一青年委員会青年局次長と共に、若者からの提案を受け止め、その実現可能性や課題などについて、若者たちと直に議論した。
その様子は、有料ではあるが、ニコ生で確認することもできる(http://live.nicovideo.jp/watch/lv244959923)。

この間も、日本若者協議会の役員・STAFFは公明党議員や職員などとの協議を繰り返し、また、今年に入ってからも、公明党側にその実現に向けて、修正や部分的反映なども含めた調整協議を続けてきた。
その結果、今回、公明党が発表した「参議院選重点政策案」として形になったわけだ。
若者の声を政策に反映することの重要性はもちろんだが、今後は、こうしたプラットフォームや仕組みについても、より質を高めながらもさらに幅広い層の若者を巻き込んでいけるようにすることが大切である。

今後は、他の党も若者の声を反映していく

今回、公明党は「若者参画政策」のリーディング政党として、他党に先駆けて若者の声を反映した「参院選重点政策」を発表することができたわけだが、若者にとっては、これがゴールではなく、実際にその政策が実現されるよう、引き続き厳しいチェックや働きかけをしていかなければならない。
現段階では詳しく書けないが、日本若者協議会は自民党とも「日本版ユース・パーラメント」を12月に実施しており、自民党側では青年局を中心に、若者の声を反映した若者政策を党の参院選政策にしようとの動きが出ていると聞く。
また、政党の合併で、完全に動きが止まってしまっているところではあるが、民主党と維新の党とも「日本版ユース・パーラメント」を実施しており、合併後には、参院選公約づくりのプロセスの中で、こうした政策の反映について、野党各党と協議していく予定だ。
おおさか維新の会とも、すでに協議を続けており、7月の参院選の際には、それぞれの政党が、どれだけ「若者の声」を聞いたのかを比較できるようにもしていきたいと考えている。
是非、日本中の若者に、どの政党が「ワカモノの”ミカタ”」なのかを厳しくチェックしてもらいたい。また、それぞれが考える日本を良くするための「ワカモノ・マニフェスト」を、日本若者協議会を使って、各政党に提案してもらいたいとも思う。

高橋亮平(たかはし・りょうへい)
中央大学特任准教授、NPO法人Rights代表理事、一般社団法人 生徒会活動支援協会 理事長、千葉市こども若者参画・生徒会活性化アドバイザーなども務める。1976年生まれ。明治大学理工学部卒。26歳で市川市議、34歳で全国最年少自治体部長職として松戸市政策担当官・審議監を務めたほか、全国若手市議会議員の会会長、東京財団研究員等を経て現職。世代間格差問題の是正と持続可能な社会システムへの転換を求め「ワカモノ・マニフェスト」を発表、田原総一朗氏を会長に政策監視NPOであるNPO法人「万年野党」を創設、事務局長を担い「国会議員三ツ星評価」などを発行。AERA「日本を立て直す100人」、米国務省から次世代のリーダーとしてIVプログラムなどに選ばれる。 テレビ朝日「朝まで生テレビ!」、BSフジ「プライムニュース」等、メディアにも出演。著書に『世代間格差ってなんだ』、『20歳からの社会科』、『18歳が政治を変える!』他。株式会社政策工房客員研究員、明治大学世代間政策研究所客員研究員も務める。
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