G20から一週間、世界の市場は安ど感に包まれた春の心地よさを感じるような状況となりました。ダウは17006ドル、日経平均は17014円とほとんど意味のない両者の指数比較ですが、共に17000台回復ということでホッとした方も多いのではないでしょうか?
今週のつぶやきのトップネタはアメリカ2月の雇用統計です。事前予想の195千人増に対して242千人増で着地。但し、失業率は変わらずの4.9%、労働参加率は労働市場参加者が555千人増えたため、62.9%とこの一年では一番高い結果となりました。この中で唯一気にされたのが平均賃金でこれは前月比0.1%減で年間で見ると2.2%と0.3%ベーシスの下落となりました。労働時間も0.6%減となっています。
この微妙な結果がアメリカの今後の利上げ予想に直接的に響きにくくニュートラルな状態を生み出したとも言えそうです。
むしろ、金曜日に原油価格が36.33ドル(NYマーカンタイル)と前日比5%以上、上げている点に注目しています。原油価格の動向については今だ一部で弱気な声が残っていますが、個人的には20ドル台に戻ることはまずないと考えています。チャート的にはW底を打った後、順調な回復ぶりとなっていますが、その背後には先日のロシア、サウジなどによる原油生産量の1月水準での凍結合意が効いています。イランの出方には今だ注目ですが、一部から6月のOPEC総会あたりに向けてインパクトある決議がなされるという噂も出ています。
来週はECBの政策会議が10日の予定されていますがどのような金融緩和が飛び出してくるか、期待がまずは先行しそうです。
さて、辺野古に関して国と県の和解。安倍首相の気持を動かした真意は何処にあるのか、イマイチ読みにくいのですが、「急がば回れ」といったような話ではない気がします。勿論、代執行の判決が迫っていたこともあり、訴訟合戦の泥沼化を避けたというタイミング的な理由はあるでしょうし、夏の選挙も見据えたものかもしれません。私は穿った見方かもしれませんが国が時間稼ぎをしている気がしてなりません。それは沖縄に於ける基地問題の長期的視野を練り直しているのではないでしょうか?
もともと米軍の沖縄の存在は朝鮮半島問題でした。が、今の北朝鮮の状況からすれば5年、10年先は一定の結論が出ている可能性が高いのではないでしょうか?いみじくも金正恩氏の「斬首作戦」と言われている現在、朝鮮半島情勢は目先、大きく変わる可能性があり、沖縄米軍の立場もその行方次第で大きく変わります。一方、新たな問題として中国の南、東シナ海での活動があり、これをどう抑えるのか、という新たな視点が加わってきそうです。このあたりの変化を捉えるという意味で事の成り行きを一旦見守るというスタンスはあり得るのかもしれません。
最後の話題に移ります。日本政府の仮想通貨の「貨幣」としての認識の件です。政府がなぜ、これにこんなに急いで力を入れているのか、私の思う答えはズバリ、相続ではないかと思います。仮想通貨は相続税対策で使える非常に便利なツールです。しかも国内のみならず、海外に逃避した資産の国内還流も簡単に出来るはずです。これは国税が折角マイナンバー制度を導入し、国民のすべてのお金の出入りをチェックできる仕組みにしたのに仮想通貨で完全に裏技可能状態になっています。これを抑えるのに必死である、と見ています。
そういえば税務署は住民票を抜いている海外居住の日本人が持つ日本の居住者用銀行口座を無力化しており一部の海外居住者で話題になっているようです。これは、マイナンバーがないと海外との入出金ができない仕組みになっているため、国内口座が実質お財布機能しか持たせられなくなったことにあります。仮にマイナンバーを持った人が海外送金をすればそのほとんどはモニターされ、送入金の累計金額が多ければ税務署から「お尋ね書」が舞い込んできます。
このマネーのプライバシー崩壊の事実をみて思わず思い出したのがジョージ オーウェルの「1984年」であります。全体主義で党員はすべての行動を監視されてびくびくの生活をしているという背景の今世紀最高傑作の小説の一つであります。これが今の日本で起きつつあるのでしょうか?どうなんでしょうかね?マイナンバー制度がまだ始まったばかりですが、結構、問題が今後出てきそうです。
では今日はこのぐらいで。良い週末をお過ごしください。
岡本裕明 ブログ 外から見る日本、見られる日本人 3月5日付より