インタビューに答える松茂良氏。
いまサラリーマンの間で「日高屋飲み」が流行っています。小遣いがカットされるなか厳しい財布事情に優しいのが「日高屋飲み」です。日高屋は一般的にはラーメン屋として知られていますが、ちょい飲みもでき、〆のご飯も食べられます。さらに、アルコール類も安く、長く居座っても文句もいわれません。実際、売上におけるアルコール比率は15%超えと同業と比較しても非常に高い数値です。
日高屋は駅前繁華街への出店を効果的におこない、帰宅帰りのサラリーマン層の需要をうまくキャッチアップしています。飲んで、食べて、ほろ酔い気分で、1人約1500円単価。こんな有り難い憩いの場はありません。
日高屋を経営する、株式会社ハイディ日高は、現在、東証一部上場企業として日本の飲食業のなかでもリーダー的な存在です。同社は、現会長の神田正氏が埼玉県大宮市(現さいたま市)に、約5坪のラーメン店「来来軒」を開店したことに端を発しています。
同社の強みについて、日高屋の元最年少店長であり、飲食業コンサルタントの松茂良宏氏(以下、松茂良)に話を伺いました。
●日高屋の強みとはなにか
—最近、様々な形態の店舗が増えていませんか?
松茂良 特に24時間営業の店舗が増えています。私が勤務していた2~3年前辺りから急に増えたように思います。山手線沿線で増えており、24時間営業店舗のほとんどが利益を出しています。
カラクリは簡単です。タイムスケジュールに追って説明しますと、深夜は終電まで忙しくそれからは、まばらの来店となります。一旦深夜にレジを精算し閉めて、その日の売上げ表を作ったり書類を作成させます。閉店がある店では、ここで終わりとなります。
24時間営業の店は、朝方に工場からの配送が来ますが、仕込みをして終わったら、朝のシフトと交代します。この流れにムダがありません。効率や生産性が抜群に良いのです。また納品方法にも特徴があります。通常は納品のコンテナが冷凍の物を除くと定位置に置かれていきます。これを朝のシフトが片付けながら仕込みをして開店準備をします。
24時間の店は深夜の人がやるので朝はスタートが早く整います。24時間店舗はかつては、4時閉店の店がほとんどでした。4時に閉店して、11時開店。 10時から始業するとなると、最初にお客さんは入らないので、それなら24 時間にしようとして始まったのが今の原型になります。
●24時間営業のモデルはコンビニだった
—24時間店舗のモデルはなんですか?
松茂良 コンビニをイメージされたら良いと思います。コンビニが深夜から朝方にやる意味というのは、納品や売れる時間への準備がキーになるためです。雑誌や新聞は時間によって陳列するのが決まっています。またお客様にもある傾向が見られます。共通してるお客さんは同業者です。
居酒屋の店員は鉄板で、どの店舗でも見かけました。2時閉店の店舗などは、終わってから食事をしようと思っても店は限定されます。一般的な、牛丼屋、ラーメン屋の類では長居ができませんから日高屋に流れてきます。日高屋の24時間営業のお店にはいまでも同業者が多いと思います。
飲食店で利益率が高い商品は飲料です。お客様は飲料を必ず注文しますから利益率が高くなります。お客様が少ない時間帯であっても、利益率が高い飲料を注文してくれれば有り難いのです。
—繁華街の店舗はどうですか。繁華街にも店舗があると思いますが?
松茂良 繁華街の24時間店舗は他とは少し違います。ある地域の店舗は0時までは忙しく、2~4時は比較的お店が空いています。そして5時前後からピークが来ます。平日ならお水系。土日は学生なども加わり朝の5時に満席になる事もあります。彼らは朝まで遊んで、始発前にラーメンを食べて帰るのが日課です。24時間営業しても生産性上げれば利益を確保することは決して難しくありません。
また、戦略もユニークで、大手のハンバーガーチェーンや餃子チェーンが乱立する地域に出店することで他業態の店舗からお客様を呼び込む手法は、コバンザメ戦略ともいわれています。
—有難うございました。
会社帰りに一杯!に最適な日高屋。ラーメンに餃子とビールをつけても1000円に満たない価格で楽しめます。最近はおつまみ系のメニューが充実しているらしい。行きつけのマイ日高屋を見つけてみてはいかがだろうか。
尾藤克之
コラムニスト
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