ショーンKとの出会いは10年前。彼がDJを務めるラジオ番組「J WAVE MAKE IT 21」にゲスト出演したときでした。同い年でもあることから、それ以来仲良くさせて頂くようになりました。
そんな彼の学歴が真実と異なっていたことが、大きなニュースになっています。
私は他人の卒業大学を気にしたことがありません。
経営者の時も、いま現在も、面接の前に渡される履歴書を見ても、どこの学校出身かは全く記憶に残りません。
採用して半年ぐらい経ってから、「あ、君は東大卒だったんだ」と気づくようなこともよくあります。重要なのは学歴ではなく、どのくらい意欲を持って、成長して、仕事が出来るようになるかだと思っているからです。
もちろん友人の卒業大学も気になりません。今回の騒動を聞いて、はじめて「ショーンは、ハーバードのMBAと言って(書いて)いたんだ」と知ったぐらいでした。
しかし、当然ですが、学歴や経歴の詐称はいけません。会社の面接の際に履歴書に事実と異なることを記載したら、解雇理由になり得ますし、選挙の際だと犯罪になります。
ただ、行き過ぎと思える(まるで殺人犯でも追及するような)、今回の報道の有り方には疑問を持ってしまいます。
TVやラジオでの素晴らしいコメントを聞いて賛同・共鳴していた視聴者は、「ハーバード大学MBA取得」や「テンプル大学卒業」との肩書とは無関係にそう感じていた人の方が多いはずです。その点を全く考慮しないで、彼の過去や人格の全てを否定するような内容になっている記事等は、いかがなものかと思ってしまいます。
ショーンには真摯に反省し、国民の皆さんに謝罪のうえ、もう一度復帰して欲しいと願うばかりです。
この件を通じて思ったのは、世の中にはアンフェアな面があるということ。
程度の差はありますが、自分をよく見せようとする人は大勢います。その中には、私腹を肥やすことだけを考えて「株主のため」「従業員のため」とHP上等で発信している経営者たちや、自分の当選や出世のことしか考えずに「国民のため」「弱者のため」と言っている政治屋たちなど、国民を欺くことで直接に利益を得ているような人もいるのです。
しかし、見逃してもらっている場合がほとんどです。ショーンよりもよほど悪質な例であっても特に問題とされたことはないように思います。
その最たる例が選挙ポスターです。「修正」どころか「作成」しているレベルのものも多く、国民を騙しているとしか言えないような場合もあります。
(この問題は予算委員会でも確認しましたが、高市総務大臣の見解では「許される」ものだそうです。(こちらの記事をご覧ください)
法律をつくるのは国会議員ですから、自分たちに有利なものはそのまま放置しているのです。
ショーンのことを叩いている議員もいたようですが、その前にまずは自分たちがやっていることが詐称や偽装と同じだということを認識すべきです。ルールを作っている人間が、自分のことを棚に上げて他人をバッシングするような恥知らずなことをしてはなりません。
編集部より:この記事は、タリーズコーヒージャパン創業者、参議院議員の松田公太氏(日本を元気にする会代表)のオフィシャルブログ 2016年3月19日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は松田公太オフィシャルブログをご覧ください。
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