アゴラに「走りながら考えるは愚の骨頂。停まらなくてはいけない」(16年01月08日)や『仕事は走りながら考えない。迷ったら「すぐ立止まる」』(16年01月26日)と題された記事があります。
「経営コンサルタント」の筆者曰く、『いま「走りながら考えることは無駄」だと断言することができます(中略)。日常においても、忙しく働いているときに、新しいアイデアを思いつく、なんてことはそんなにはないはず』とのことです。
本テーマで私見を申し上げれば、先ず「走りながら考える」とは此の方が論じているような意味ではないように思います。例えば営業上の知恵一つをとって見ても、それは外交をやって初めて色々と湧いてくるものです。
即ち「御客様には、こういうニーズがあるのか。であれば、こういう商品に変えようか」といった具合に、肌感覚であらゆる情報(とりわけ営業情報)を集めるということです。外交がビジネスの基本であり、その外交をしなければ御話にならないということを意味していると私は思います。
当ブログでは嘗て『天才の特徴~「一時にパッとわかる。」ということ~』(14年3月31日)等で、大数学者アンリー・ポアンカレーの発見に対する日本が世界に誇るべき天才的数学者・岡潔氏の見解や、「アルキメデスの王冠の話」等を御紹介したことがあります。
上記ブログでは、史上天才と言われる様々な人は徹底的に考えに考えた末、暫く当該事項から離れていたとしても、何かの拍子にある日突然それが蘇ってきてふっと閃いたりすると指摘しました。
必死になって考えに考えた挙句、疲れ果てて寝転んだ時にふっと良い知恵が湧いてくるというふうに、アイデアや閃きを得る時には、必死になって考えるという局面が必ず何処かであるはずです。そうしたプロセスを経ずして何一つ出て来ることはないのです。
繰り返しになりますが「走りながら考える」とは、走りながら実際に考えるといった類ではありません。それは営業上の知恵で言うと、御客様のニーズを把握すべく、どれ程走り回りどれ程御客様と接するかが大事かということだと私は理解しています。
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