「老人翼賛会」への道


きょう「民進党」の結成大会が行なわれ、20年にわたる民主党の歴史が終わる。それは最初から党としての理念のない「選挙互助会」だった。1996年に民主党を結成したのは、自社さ政権で与党ではあったが、小選挙区制では生き残れないさきがけと社民党だった。

そこに1997年の新進党の分裂で生まれた、太陽党・改革クラブ・新党平和・新党友愛・黎明クラブ・国民の声・フロムファイブなどの小党が合流し、わけのわからない党ができた。2005年の郵政選挙では惨敗したが、その後の自民党政権の混乱で民主党への期待が高まり、「政権交代」をスローガンにして2009年の総選挙で政権をとった。

しかし政権交代以外の政策は何もなかったので、子ども手当でバラマキ福祉をやり、「政治主導」と称して官僚を敵に回し、2010年の参議院選挙で「ねじれ国会」になって、何もできなくなった。2011年の震災への対応で批判を浴び、翌年の総選挙で惨敗した。

そのとき民主党は泥舟とみた松野頼久氏は、当時人気のあった橋下徹氏と組んで「日本維新の党」を結成し、民主党を除名された。彼は維新の国会議員団長として、実質的なナンバー2となったが、橋下氏と対立して民主党に復帰することになった。

このように民進党の実態は、2012年の総選挙で負けた民主党と出戻り組の弱者連合だ。党内には憲法改正派から社会党の残党まで抱えているので、何も政策が出せない。「立憲主義」とか「共生」などという意味不明のスローガンで、選挙が戦えるはずもない。この夏にダブル選挙になったら、ボロ負けするだろう。

民主党が自民党に勝てない理由は、明白である。バラマキ財政で「大きな政府」をつくる自民党に対して、同じくバラマキ福祉しか出せないからだ。自民党には「既得権と老人の党」という明確なコンセプトがあるが、民主党はそれと対決できない。彼らも労働組合と老人の既得権を守らないと、小選挙区や一人区では勝てないからだ。

もう自民党との政策の違いはないので、この夏に壊滅したら民進党から自民党に移る議員が出て、両院の2/3を超える老人翼賛会ができるかもしれない。そこまで行けば、老人の富を守って衰退する日本か、将来世代を代表して未来に投資する日本かという新たな対立軸ができる可能性もある。そのためにも、民進党には惨敗してほしい。