北朝鮮の動きがより先鋭化してきました。北朝鮮人民軍が韓国に対して実質的な「最後通牒」(最後通告と同意)を提示してきました。最後通牒とは文書による外交的解決手段を止め、相手がその要求を飲まなければ実行に移すという意味であります。
今回の北朝鮮の要求内容は韓国の演習に対して朴槿恵大統領の謝罪と責任者の処刑を求めているものであります。挑発的な米韓合同演習に対する北朝鮮側の過度な反応ともいえます。
いまだ、口だけだろう、というコメントもありますが、私はそう思っていません。なぜならば今回の最後通牒が金正恩第一書記ではなく、「北朝鮮軍前線大連合部隊の長距離砲兵隊」という一部隊による発表である点が気になっています。これは北朝鮮軍がいよいよ精神的、肉体的にその準備を進め、最後通牒を出せるほどの体制が整いつつあるとも言えるからです。
では、金正恩氏がいつ、その最後の指示を出すか、ですが、合同演習が4月30日まで行われることからそれが終わるのを待ち、韓国側の対応を見るのではないかと思いますが、一度スイッチが入った軍の準備は士気高揚を維持するためにはあまり長く持たせられない考え方もあります。
ターゲットは明白に青瓦台(韓国大統領府)となっており、韓国側も国家安全保障会議を開催するなどあわただしい動きとなっていることからこれ以上、北からの挑発が進めば韓国側の国家非常事態宣言もあり得るかもしれません。
その場合、日本が直接的な影響を受けることは免れません。多くの韓国一般国民が一時退避をするにあたり、最も近く比較的安全な国外となれば日本となってしまうからです。日本政府も人道的支援をすることになりますから当然受け入れるでしょう。その場合、一気に大量の人数を移動させるには船となりますので九州の主要港、場合により瀬戸内海経由で近畿地方のルートもあるかと思います。
勿論、このストーリーは想定であり、北の実力行使がないにこしたことはありません。が、戦前の動きを知っている方ならば今の状態がどれほどリスク含みかは体験をもってご存じだと思います。戦後70年、また朝鮮戦争からも65年、ほぼ戦争とは無縁の状態が続いた日本でこの緊張感に対して準備態勢はほぼないと思います。これでは余りにも無防備すぎます。勿論、日本政府は国民にそれを煽る必要はありませんが、隣国がどういう状況になっているのか、それが日本にどういう影響を及ぼすのか、あらゆるシュミレーションをもう少し、具体的に検討すべきでしょう。そうなってからでは遅いのです。
例えば北朝鮮がミサイルを飛ばした際にも日本の上空を飛ぶのか、という点にのみ報道は集中しています。これは言い換えれば日本が大丈夫ならあとは構わないということで国民の興味もそこまでとなります。が、押し寄せるかもしれない韓国の避難民について指摘したマスコミは皆無でしょう。実態としてはこちらの影響度の方がはるかに大きくなるのです。
折しも日本は新年度入りを今週に控え、新たなる飛躍に向けた計画推進に向けて準備していることと思います。政府はサミット前に財政出動を検討していると報じられています。この精密機械ごとく積み上げられた計画は何も起きないという前提に立っています。今、日本として構えておかねばならないことは突発的事態が起こりうるかもしれないというリスク管理であります。新年度入りを前にそんなことを大前提に考えねばならないのも癪ですが、世の中、自分の思った通りにならないこともある、というマインドの準備だけはしておいた方がよい気がいたします。
では今日はこのぐらいで。
岡本裕明 ブログ 外から見る日本、見られる日本人 3月27日付より