良い保育士を見分けるコツはこれかな --- 天野 信夫

放課後の小学生たち(主に低学年)と小学校で遊んでいます。今の私の仕事です。小学校低学年だと、おもちゃの取り合いからケンカになります。じゃれ合っているうちに何時とはなしにケンカに発展します。ケンカはほぼ毎日あります。仕事場のスタッフは、遊んだ道具やおもちゃを片付けさせるのと、このケンカの仲裁が毎日の主な仕事になります。

子どもたちに人気があるスタッフがいます。そのスタッフが来ない日は、「○○先生は今日は来ないの?」と、子どもたちが残念そうな顔をします。残念ながら、それは私のことではありません。そういう人気のあるスタッフを見ていて、あることに気付きました。子どもに人気のあるスタッフは、子ども同士のケンカの仲裁や指導に優れているのです。

私はダメです。どちらが悪いかすぐ判断しようとします。年の違う者同士なら年上が悪い、男女なら男の子が悪い、普段からいじめっ子だから「またおまえか(おまえが悪い)」と判断しがちです。ケンカの理由を二人ともあれこれ言い立てますが、子どもの言い分ですから理路整然とはいきません。私は理解できずイライラし、最後の握手になるべく早くもっていこうとします。要するに面倒くさいのです。

ケンカの仲裁に優れたスタッフは、まず両方の話をしっかり聞きます。その両方の話の中から、言い分として認められる部分を見つけます。それを認めます。その上で悪い部分を指摘します。最初からどちらが悪いと決めつけません。だから時間がかかります。時間がかかっても子どものプライドを尊重します。その結果、自分の話を聞いてもらえたということで、その子どもはスタッフに信頼を寄せるようになります。 

だからと言って、そのスタッフが優秀かどうかは分かりません。保護者対応や事務能力など総合力を見ないといけないからです。しかし、子どもたちに信頼されている好かれているということは、保育に携わる者として最も基本で最も大事なことだと思います。良い保育士、良い幼稚園教諭、良い小学校低学年の先生を見分けるコツは、子どものケンカの仲裁を見ればよい、これが今回の私の勝手な結論です。

最近、保育士の待遇改善の声がしきりです。待遇改善がより進めば、優秀な人材がもっと集まるでしょう。良い保育士がたくさん集まればいいな、と思います。

天野 信夫
無職(元中学校教師)
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