不動産所有者の利益倍増計画

「不動産を所有して利回り○%で回せば銀行ローンを組んでも自然とローン返済もできる」という常套文句は不動産に興味ある人ならば必ず聞いたことがあると思います。私も不動産に関係する仕事を長年やってきましたのでかつてはその利回りの大小でああでもない、こうでもないとやっていたのを覚えています。

が、この10年は不動産を所有し、且つ直接運営するというスタイルに変えてきました。駐車場部門はその典型ですし、かつてのカフェ事業も自社の不動産に賃料以上の利益を生み出すことを目論んだのです。(これは思惑通りにいきませんでしたが。)日本のシェアハウス事業や事務所リース事業も同様です。全て所有する不動産に運営を上乗せすることでせいぜい4-5%しかない不動産だけの利益率を飛躍的に向上させることが出来るのです。

4月1日から弊社で所有しているバンクーバーのマリーナについてそれまでの運営会社との契約を打ち切り、自社運営に切り替えました。なぜ、いま切り替えたのかといえば運営会社に任せておくと利益率が向上せず、余計なコストがかなりかかるためです。例えばマリーナのような特殊な事業では営業利益の半分ぐらいは運営会社が持って行ってしまいます。

自社運営に切り替えて思ったことは思った以上にプラスアルファの売り上げが多い点であります。例えばクルーザーのオーナーは季節が良くなると長期でどこかに出掛けたり、自分のセカンドホームの近くのマリーナに移したりします。その際、その空いたスペースを又貸しし、ボートオーナーと弊社で利益の折半をするようになっています。ではその空いたスペースを簡単に埋められるのか、といえば既に積み上がっているウエイティングリストに電話すればほぼ1日で埋められるほどの売り手市場であります。

確かに所有する不動産を自社運営に切り替えるとそれなりに頭の痛いことは多く、事務工数や管理工程、さらに経理作業も飛躍的に増えます。が、それでも利益を倍増させることはさほど難しくないでしょう。

日本でワンルームマンションを多数所有したり、賃貸アパート経営をしている方も多いでしょう。しかし、この「経営」という点で本当に経営をしているのか、これは疑問があるかもしれません。なぜなら客先は不動産屋に任せざるを得ず、多額の仲介手数料という費用が発生します。そしてそれ以上に顧客の声が直接聞こえてきません。不動産屋から「決まりました」の一言だけです。大家が自分で客を選ぶ自由があまりありません(というか、判断基準は不動産屋の言葉を信じるだけになります)。

日本のシェアハウス事業は最近、外国人向けに力を入れています。なぜなら、私の得意とするエリアだからです。潜在顧客からEメールの問い合わせがあれば5割以上の確率で契約にこぎつけらえるのは顧客との頻繁なメールからその人が求めているものを見出し、セールストークにアップセールまでかけるからでしょう。

特に日本ではシェアハウス事業者が増えてきたこともあり、価格競争に入っています。日本人の潜在顧客はネットで調べ上げ、絶対的にお得なところで決める傾向があります。その為、事業者は更に安く提供する、という悪循環に入っています。その中で私は値上げをしたのですが、それでも満室を維持しているのは直接営業でウェブでは見えない部分を売り込むからかもしれません。

今日のポイントは手間暇をかける、です。不動産=イージーマネーのイメージが強いと思います。寝ていても旅行していても病気しても収入がある、とも言われてきました。しかし、そんな時代はもう終わりです。不動産所有者だけ良い思いは出来ません。株主は配当金を貰えますが、せいぜい多くても3-4%です。不動産も利回りはそんなものです。しかし、企業の利益は多額でもそれを全部配当に回していません。同様に不動産を所有者に代わり運営する事業者も莫大な利益を得ています。

マリオットによるスターウッド買収が決まりましたがその買収金額は1兆4000億円規模です。ホテル業界は自社で不動産を持つ場合もありますが、ほとんどは運営委託契約です。つまり所有者に代わり事業をする会社です。その価値がこれほどあるという意味を捉えてみるとお分かりいただけると思います。

あなたのその空き地の駐車場運営、自分でやってみたらどうでしょうか?利益倍増するかも、です。

では今日はこのぐらいで。

岡本裕明 ブログ外から見る日本、見られる日本人 4月10日付より

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会社経営者
ブルーツリーマネージメント社 社長 
カナダで不動産ビジネスをして25年、不動産や起業実務を踏まえた上で世界の中の日本を考え、書き綴っています。ブログは365日切れ目なく経済、マネー、社会、政治など様々なトピックをズバッと斬っています。分かりやすいブログを目指しています。