米国でのレストラン予約、有料制がDCでも静かに浸透

人気レストランの扉を開けて、まず聞かれるのは「ご予約のお客様でいらっしゃいますか?」ですよね。米国ではこの決まり文句が「ご予約チケットをお持ちですか?」に変わるかもしれません。

かつてNYの至高フレンチ・レストラン「パ・セ(Per Se)」のを取り上げたように、予約の有料化が米国の首都ワシントンD.C.でも浸透しつつあるのです。ワシントン・ポスト紙によるとラウンジ「コロンビア・ルーム(Columbia Room)」をはじめ、人気料理勝ち抜き番組「トップ・シェフ」で人気を博したクウェム・オヌアチ氏がオープンさせる「ザ・ショー・ビジュウ(The Shaw Bijou)」、レストラン「ローズ・ラグジュアリー(Rose Luxury)」の姉妹店でまもなく開店を迎える「パイナップル・アンド・パールズ(Pineapples and Pearls)」など、そうそうたる名前がそろいます。

もちろん、有料システムの影にはTockあり。レストラン予約の歴史は19世紀に遡り、客人をもてなすために食事用のバンケット・ルームを確保する需要に応じて開始しました。1920年代には電話の普及につれて電話予約が主流となり、1990年代にはドットコム・ブームに乗って予約サイトが誕生し今に至るわけですが、遂に有料システムが産声を上げることになるとは誰が想像したでしょうか。

レストラン側にしてみれば、予約の無断キャンセルを防止できる上にキャンセル料をしっかり受け取れるため、願ってもないサービスです。利用する側も接待や重要なデートのような箔をつけたいシーンでは、重宝するのでしょう。特に初デートでは、お会計の時のあの気まず~いムードを回避できます。

最初のデートなら感心されるかもしれませんが、夫婦間なら奥様に無駄な出費と怒られたり?

(出所:Club Med UK/Flickr)

ただ庶民に取っては、予約にお金を払う価値を見出しづらい。あるアメリカ人は「食料品を買って料理するだけでも高いのに、なぜ予約料金まで払わなければならないのか」と憤慨しておりました。有料予約サービスはリッチな方々のステータス・シンボルとして成功する可能性を残す一方、一般的な支持を得られるかは疑問が残りますね。

(カバー写真:Matthias Mueller/Flickr)


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年4月11日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。