スポーツ中に炭酸飲料という“常識破り”

どうも新田です。忙しくてゲップが出る暇もありません。ちょっと前のことですが、4月上旬の記事にて、壇蜜さんが出馬するのではないかという噂を元に、彼女の芸能界における戦略が「カテゴリー・イノベーション」に相当する、と指摘させてもらいました。

そうしたら、本当に「カテゴリー・イノベーション」を感じさせる商品が最近でていたんですよ。この週末も土曜日は天候に恵まれそうで、ジョギングなどで汗を流される方も多いと思いますが、サントリーがおなじみのC.C.レモンで新カテゴリーとして「C.C.スポーツ」を今月から発売したんですね。ええ、名前の通りスポーツドリンクとしての売出しです。

実は、商品発表会に折角ご招待されていたのに、あいにく都合がつかなかったんですが、この新商品が面白いのは、我が国の炭酸ドリンクを代表する商品の一つである「C.C.レモン」のテイストをいかして、スポーツドリンクにカスタマイズを考えたことです。しかも、キャンペーンの事務局から、こんな調査結果まで送られてきたんですが、なんですかこの挑発的な内容は。

スポーツ中の炭酸飲料は「なし」8割…スポーツ愛好者×炭酸飲料実態調査

「スポーツ中の水分補給手段として炭酸飲料は「あり」だと思うか」を調査。「なし」と「どちらかといえばなし」を合わせて約8割(78.6%)が「なし」と回答した。スポーツ中の水分補給手段として炭酸飲料は「なし」と回答した人にその理由を尋ねると、「お腹が張る」がトップとなった。続いて「他の手段がある」「げっぷ」。(出典;CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

これを読んだだけでは、元阪神、オリックスの岡田彰布さんならずとも「そら、そうよ」と思いますよ。私なぞ、50メートルも全力ダッシュしたら壇蜜さんとは違う意味でハアハアしてしまい、体を動かすことを厭う典型的な文化系人間でございますが、そんなスポーツ素人の私でも「スポーツドリンクに炭酸なんてゲップ出るんじゃないの?」と耳をうたぐったわけです。

それで、念のため、本記事がステマでないことをあらかじめ断りつつ、サントリーさんとは距離を置いた、客観的立ち位置で「C.C.スポーツ」を試飲されたスポーツ栄養学の専門家、田地陽一先生(東京家政大学准教授)にご意見をうかがってみました。

そもそも炭酸が体にいいものかどうか、私が子供の頃には、「コーラを飲みすぎると骨が溶ける」などと親に戒められものですが、田地先生のお話では「特に良くも悪くはない」とのことで、あれは都市伝説だったのだと今回の取材で初めて知りました。

IMG_3347サントリーの開発陣たちが、「C.C.スポーツ」のアイデアを思いついたのは、スポーツ愛好家たちが、やたらに「C.C.レモン」を飲んでいることがきっかけだったそうです。いわば運動中、運動直後に炭酸飲料の隠れたニーズがあるのではないかと試行錯誤してきたとお見受けします。

このあたり、スポーツ栄養学の見地から田地先生にお尋ねしてみると、「運動しているときは、エネルギー使うので、糖質を取ることで、疲れが取れる運動後に飲むとしてはありではないか」とのこと。試飲の感想は「実際に飲んでみると、げっぷがそんなに出なさそう。絶妙につくった微炭酸」とのことで、私も早速近所のコンビニで買ってきて=写真=、飲んでみたら、私もなるほどと感じました。

おそらくスポーツのプレイ後の飲み物としては、夏場に向けて、人気が出るのではないかと思います。勝負どころは「スポーツ中」の水分補給として、どこまで受け入れられるのかどうか。アンケートでは8割が「なし」ですからね。まあ、でも「常識」を打ち破るのがイノベーションの妙味と考えると、開発陣がスポーツの現場レベルで得た着想から、程よい甘味と微炭酸という形で、面白いものを提案してきた新商品が従来にないカテゴリーを築き上げるのか、ビジネス視点でみると、ヲチしがいがありそうです。

とりあえず、記者会見にも行けなかった上に、地震の影響もあって、取材の成果をアウトプットする機会が遅れてしまい、関係者にはご迷惑をおかけしました。田地先生もお忙しい中、インタビューのお時間を取っていただき、ありがとうございました。とりあえず、文科系人間としては「C.C.スポーツ」が身の回りのスポーツ愛好家たちにどこまで手を取られるのか生暖かく見守らせてもらえればと思います。こちらからは以上です。

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新田 哲史
アゴラ編集長/ソーシャルアナリスト
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