中国共産党政権はここにきてキリスト教徒や他の宗教者への弾圧を強めている。

習近平国家主席は、「宗教者は共産党政権の指令に忠実であるべきだ」と警告を発する一方、「共産党員は不屈のマルクス主義無神論者でなければならない。外部からの影響を退けなければならない。過激主義者をその思想拡大の段階で阻止しなければならない。インターネット上の宗教活動を厳しく監視しなければならない」と強調した。これは、中国国営放送が先週末、宗教に関する会合後、報じた内容だ。

2日間、北京で開催された同会合には数多くの党高官たちが参加した。バチカン放送独語電子版は25日、「中国は宗教的侵略に対し弾圧強化」というタイトルで速報している。

中国では宗教者を取り巻く状況は悪化してきた。非政府機関(NGO)関係者は圧迫され、人権問題の弁護士たちは警察当局に手入れされ、脅迫を受けている。教会の十字架は撤去され、宗教関連施設は破壊されている。

中国共産党政権の宗教弾圧はキリスト教会だけに向けられているわけではなく、イスラム教に対しても同様だ。イスラム教系学校はさまざまな制限を受け、ラマダンの月、イスラム教徒に断食中止の命令が出されたりしている。

河南省では4月14日、プロテスタント系教会建物が当局から派遣された工事関係者に破壊されようとした時、それを阻止しようとした牧師夫婦が生きたまま埋められてしまうという出来事が起きた。牧師は自力で這い上がったが、夫人は埋められてしまったという。

香港では24日、陳日君(ジョセフ・ゼン)枢機卿らキリスト教徒たちは中国共産党政権によるキリスト教シンボルの破壊に抗議するデモを行った。同枢機卿によると、香港でも宗教の自由が制限されてきたという。

中国共産党政府は2013年末、キリスト教シンボルの撤去キャンペーンを始めている。それ以来、浙江省だけでも2000以上の十字架が撤去されたり、破壊されたという。それに抵抗した聖職者たちは逮捕された。

中国では「宗教の自由」が一応明記されているが、実際は宗教者への弾圧は益々強められている。カトリック教徒、プロテスタント信者、イスラム教徒、仏教徒たちは北京当局のコントロール下に置かれ、外部からの干渉は拒否されている。

中国当局によると、同国の宗教者人口は人口の1割以下の約1億人といわれているが、実際はそれ以上だ。仏教徒だけでも2憶4400万人がいる。キリスト信者数は6700万から1億人と推定されている。

中国共産党政権は過去、文化の空白を補うために同国の偉人、孔子を呼び出して、「孔子に学べ」を合言葉で儒教社会主義を提唱するなど、中国文化の復興に乗り出したが、国民の宗教心を圧迫する中国では真の文化は建設できない。

「やがて中国の崩壊が始まる」(2001年)という著書がある米ニューヨーク在住の中国問題専門家ゴードン・G・チャン氏は、「中国国営企業はビルを建てることはできても、文化を築くことはできない。開放的で自由な社会でしか文化は創造されないからだ」と述べている。そして宗教は文化発展のコアとなるものだ。

編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2016年4月27日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。