米北東部の5州、トランプ候補とクリントン候補に微笑む

米北東部5州で行われた予備選では、勝利の女神は共和党のトランプ候補および民主党のクリントン候補に微笑みました。

以下は、今回の結果で()内の数字は獲得代議員数。なおペンシルベニア州は共和党の予備選が勝者総取り方式であるものの、下院選挙区の代議員は特別代議員(誓約に縛られない代議員、アットラージ、スーパーデリゲート)であるため獲得代議員の数が代議員数そのものに満たない。そのほか、集計事情などから代議員総数に足りない州もある。以下の数字は、RealClearPoliticsから引用。

▽ペンシルベニア州
共和党 代議員数71
・トランプ 56.7%(17)
・クルーズ 21.6%(0)
・ケーシック 19.4%(0)

民主党189(特別代議員21)
・クリントン 55.6%(95)
・サンダース 43.6%(67)

▽メリーランド
共和党 代議員数38
・トランプ 54.4%(38)
・ケーシック 23.0%(0)
・クルーズ 18.9%(0)

民主党95(特別代議員23)
・クリントン 63.0%(59)
・サンダース 33.3%(32)

▽コネチカット
共和党 代議員数28
・トランプ 57.7%(28)
・クルーズ 28.5%(0)
・ケーシック 11.7%(0)

民主党55(特別代議員15)
・クリントン 51.7%(27)
・サンダース 46.5%(25)

▽ロードアイランド
共和党 代議員数19
・トランプ 63.8%(10)
・ケーシック 24.4%(5)
・クルーズ 10.4%(3)

民主党 代議員数24(特別代議員9)
・サンダース 55.0%(13)
・クリントン 43.3%(11)

▽デルウェア共和党 代議員数16
・トランプ 60.8%(16)
・ケーシック 20.4%(0)
・クルーズ 15.9%(0)

民主党21(特別代議員10)
・クリントン 59.8%(12)
・サンダース 39.2%(9)

北東部5州の予備選直前にクルーズ候補とケーシック候補が対トランプで協力を表明したものの、ご覧のとおり両者は惨敗に終わりました。2候補によるトランプ対策とは、クルーズ候補が優勢な5月3日のインディアナ州に注力し、ケーシック候補は5月1日のオレゴン州、6月7日のニューメキシコ州で資源を投入し、「すみ分け」によってトランプ候補の勝利を阻止するというもの。もちろん今回の北東部州決戦は関係がなかったのですが、怒りに震えるトランプ候補支持者を投票所へ赴かせたのかもしれません。

トランプ候補は、早速ツイッターで「死んだも同然でやぶれかぶれ」と口撃。


(出所:Twitter

今回の結果を受け、ワシントン・ポスト紙は「クリントンは5州のうち4勝、トランプは圧勝」、CNBCが「トランプとクリントン、そろそろ(ライバル候補に撤退を求める)時間だ」、ザ・ウィークリー・スタンダード「トランプ候補が5州を制し正式候補指名に近づく」といったヘッドラインを飾ります、その一方、ザ・ニューヨーカー誌は「ヒラリー・クリントンの金権政治問題」、ザ・リサージェントも「トランプ、推定正式候補に程遠い」と辛口な報道も残っていました。

ポール・ライアン米下院議長はというと、トランプ候補が26日に5戦全勝を飾った直後に不吉なメッセージを送っています。「過去の慣習は通じない。1つ予想できるならば、全てが予想できないということだ」——つまり、トランプ候補が代議員数を1237人以上を確保し正式候補として指名される条件を満たしたとしても、共和党の米下院議員が別の候補擁立で結集する可能性を示したのです。

トランプ候補はどこ吹く風、ツイッターでサンダース候補に独立派としての立候補を呼びかけています。本選が三つ巴の戦いとなれば、ヒラリー票をサンダース候補が奪ってトランプ候補が競り勝つ可能性を見越しているというわけです。個人的にはサンダース候補の支持層とトランプ候補の支持層が被るところもあり、必ずしもヒラリー票の低下にはつながると思えないのですが・・。少なくともトランプ陣営のベテラン選挙参謀の視線は、予備選を超え本選にあるようです。

(カバー写真:AP via North Jersey


編集部より:この記事は安田佐和子氏のブログ「MY BIG APPLE – NEW YORK -」2016年4月28日の記事より転載させていただきました。快く転載を許可してくださった安田氏に感謝いたします。オリジナル原稿を読みたい方はMY BIG APPLE – NEW YORK –をご覧ください。